心肺機能というのは、意外と投球フォームに与える影響が大きいのです。例えばまったく疲れのない状態で投げた時と、ハァハァと肩で息をしながら投げるのとでは、フォームの安定感はまったく変わってきてしまいます。当然前者の方がより安定したフォームで投げられるため、パフォーマンスは向上します。一方後者では肩が多少なりとも上下してしまうことにより、それだけでフォームに乱れが生じてしまいます。
一般的には先発投手はロングラン中心、リリーバーはスプリント中心にトレーニングをするのが良いと言われています。これは遅筋、速筋の違いにも関係してくるわけですが、この考え方に対してはTeamKazオンライン野球塾も大まかな部分では賛成です。ですがここでさらに、心肺機能を高めるトレーニングを組み込んでいけば、投球フォームをそれまで以上に安定させることができるのです。
ファーストにゴロが転がれば、ピッチャーは一塁に向かってダッシュをします。そこでアウトを取った後は周囲が少し気を遣い、ピッチャーがゆっくり歩いてマウンドに戻れるようにします。これはつまり、息が上がっている投手の呼吸を元に戻すためです。野球をやっていれば、誰もが当たり前に行う対応だと思います。
ですがそうしたとしても、投手の息は少なからず上がっています。プロ野球中継を見ていても、肩や胸を小さく動かしている投手をよく見かけます。このような投手は筋力は強かったとしても、心肺機能が高くないためになかなか安定したフォームで投げることはできません。
例えば弓道というスポーツがあります。小さな的を狙うという意味では、野球の投手によく似ています。弓道というのは、呼吸が乱れてしまってはなかなか正確に的を射ることはできません。他の射撃競技も同様です。正確に的を射るためには安定した呼吸と、それを支える高い心肺機能が必要となります。そのために射撃や的を射る競技では心肺機能を高めるトレーニングを行ったり、元々心肺機能が高い選手を指名強化することがあります。
野球も18.44m離れた的に向かって正確にボールを投げる必要があります。それを可能にするためにも、高い心肺機能は絶対に必要なのです。例えば一週間に一度でも二度でも、完全に呼吸が苦しくなるまでシャトルランなどを行うと、心肺機能は見る見る向上していきます。心肺機能が向上すれば、ちょっとやそっとのことで息が上がることもなくなり、常に安定したフォームで投球を行えるようになります。
投手というのは、ただ漠然と走ればいいというものではありません。このように、常に何らかの目的を持って走らなければ、そのトレーニングで最大の効果を得ることはできないのです。努力を一つも無駄にしないためにも、ラントレーニング一つとってもしっかりと目的を持ち、最大限の効果を得られる手法で取り組んでいってください。
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