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多様な変化球を覚えるより、1つの変化球をじっくり育てよう

  • 165キロの直球だけでは中学生でも打てる
  • 同じ球種に多様な変化をつけよう
  • 1つの変化球を2〜3年かけてじっくり育てよう

先発投手の球種は多ければ多いほど良い、と考えられていることもありますが、それは決して正しくはありません。もちろん7色の変化球を投げられて、その7球種すべてが完成品だとすれば文句のつけようもありませんが、しかしそうでない場合は球種の多さが武器にならないケースも多いんです。

165キロの直球だけでは中学生でも打てる

まず先発投手の球種は、ストレートを含めて3〜4個あれば十分だと思います。3球種だけでも十分先発投手として配球を組み立てることはできます。例えばかつてオリックスなどでエースとして活躍した星野伸之投手のストレートは130キロにも満たないくらいですが、変化球はカーブとフォークボールだけでした。それでもプロ通算176勝を挙げています。つまりボールのスピードも、球種の多さも勝つためには大きな要素ではない、ということです。

では何が必要なのか?一番重要なのは制球力であるわけですが、その次に重要なのは変化です。スピードの変化、コースの変化、配球の変化などです。極端な話、仮に165キロのストレートを投げられたとしても、それだけを投げていれば中高生でも打ててしまいます。しかし120キロのストレートであっても、緩急をつけてその120キロを140キロに感じさせれば、簡単にバッターを打ち取れるようになります。

同じ球種に多様な変化をつけよう

例えば80キロ台のドロップを投げた後に120キロのストレートを投げれば、打者はそれを130キロにも140キロにも感じてくれるようになります。さらに外角低めのストレートを投げた後に内角高めの対角線に同じボールを投げるだけでも、打者の体感速度はアップします。

つまり、いろいろな変化球で変化を付けようとするのではなく、同じ球種に変化を付けていくということです。速度、コース、曲がり方など、変化の付けようは多様にあります。例えばスライダーだけを見ても、外に逃げていくスライダーと、打者を仰け反らせてからストライクゾーンに入ってくるスライダーがあります。たくさんの球種を覚えようとする前に、スライダーを内外どこにでも投げられるようにするだけでも、配球の幅は大きく広がっていくんです。

1つの変化球を2〜3年かけてじっくり育てよう

ダルビッシュ投手のように、どの球種をとっても一級品という場合は話は別ですが、しかしダルビッシュ投手と同じレベルにある投手など、プロ球界を探しても滅多にいません。だからこそ多様な変化球を中途半端に覚えるのではなく、1つの変化球を勝負球になるまでしっかりと育てることが大切なのです。一般的に1つの変化球をマスターするためには1軍レベルのプロピッチャーでも2〜3年かかると言われています。もちろん新しい球種を投げられるようにすること自体は簡単なのですが、その球種を自分のものとしてしっかり操れるようになるまでは、最低2〜3年はかかります。

2〜3年と言ったら、中高生であれば1つの変化球をマスターする前に中学野球、高校野球が終わってしまうことになります。だからこそいろいろな変化球に手を出すのではなく、「この球で勝負したい」という球種をじっくり腰を据えて育てていくようにしてください。リリーフピッチャーであればさらに、多くの球種は必要にはなりません。例えば究極な話をすると、マリアーノ・リベラ投手のように変化を付けたカッターのみを投げ続けるという配球でも成り立つんです。しかしそのためにはその勝負球が、しっかりと磨き上げられているということが必要になるわけですね。

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