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2017年04月17日

マッスルメモリーが動作改善を妨げているケースもある?!


選手個々の投球動作というのは、言い換えれば1つ1つの小さな癖の集合体ということになります。投球動作の癖というのはスポーツ用語で「運動習熟」「マッスルメモリー」と言ったりするのですが、これは一般的な現役選手で2000回同じ動作を繰り返すと、その動作を頭ではなく、体(厳密には筋肉)で覚えられるようになります。つまり考えなくても自然とその動きができるようになる、ということですね。

この運動習熟というのは、野球やゴルフのように間(次のプレーについて考える時間)のあるスポーツでは特に重要になります。だからこそ野球というのは他のスポーツ以上に反復練習が結果に結びつくことが多くなるんです。

動作改善を行なっていると、レベルの高い選手ほど動作改善が進まないケースが多くなります。その理由は筋肉量(記憶容量)が多くなることにより、マッスルメモリーそのものが強くなってしまうためです。少ない筋肉量よりも、筋肉量が多い方が強く記憶できる、ということですね。

中にはそのマッスルメモリーが動作改善を妨げてしまうケースがあります。小中学生よりも高校生、高校生よりも大学生、大学生よりもプロ選手の方が、動作改善に時間がかかることが多くなります。それでも怪我を防ぐため、パフォーマンスをアップさせるため、どうしても動作改善が必要な場合があります。その場合はどうすればいいのでしょうか?

これは通常、よほど覚悟のある選手にだけ伝える方法なのですが、筋肉を一度落としてしまうというやり方があります。パソコンで言えばハードディスクドライヴを交換する、という感覚です。マッスルメモリーで容量がいっぱいになってしまった筋肉を一度減らしてしまい、もう一度筋肉を作り直し、新しく作り直した筋肉に新たなマッスルメモリーを書き込んでいくというやり方です。

主力選手ではなかなかできないやり方ではありますが、高校・大学生・プロレベルでなかなか1軍に昇格できないクラスの選手、もしくは怪我により中長期間野球ができない選手の場合は、このやり方を試してみる価値はあると思います。

一度筋肉量を落とすことによって、作り直した新しい筋肉に良い動作を覚えこませ、さらには怪我をしにくい良いコンディションの筋肉を育てていくのです。体の動きのほとんどは筋肉が司っています。関節の可動域も、体の柔軟性も要は筋肉の質です。その筋肉そのものを作り直してしまうんです。

極端な手法ですので誰にでもお勧めできるやり方ではありませんが、適切な動作、筋肉の落とし方、増やし方をしっかりと学び、栄養バランスを崩さないように行うことができれば挑戦する価値は高いと思います。

当野球塾チーフコーチであるわたし自身、数年前にこの手法を自ら試したことがあります。そして新たなに筋肉を作り直し、投球動作をインプットし直したのですが、新しい投球動作を覚えさせようとすると思った以上にそれを早く体が覚えてくれました。さらに驚いたことに、子供のころからずっと変わらなかった投球動作で投げようとすると、動きや動くタイミングに違和感を感じるほどでした。

筋肉というのはそれほど繊細であり、正確なものなんです。一度しっかりと覚えてしまった悪い動きは、なかなか改善することができなくなります。逆に一度覚えた良い動きも簡単に忘れることはなくなります。だからこそ投球動作、打撃動作というのは体が出来上がっていない小学生のうちに適切なものを覚えておく必要があるんです。そうすれば体が大きくなってから動作に悩むこともなくなり、上達に対して遠回りする可能性も低くなります。

筋肉は鍛えるもの、と一般的には考えられていますが、実際にはそれだけではありません。鍛えることももちろん大切ですが、それ以上にしっかりと教育し、良い筋肉を育てるということが野球においては特に大切なのです。筋肉によって速いボールを投げたり、打球を遠くへ飛ばそうと思ってもなかなか上手くいかないどころか、怪我のリスクを大幅に高めてしまいます。

上達するのに何よりも大切なのは、怪我をしないことです。つまり、怪我をしにくい動作=上達しやすい動作、と言うことができるわけです。そしてその動作を司っているのが筋肉となるわけですね。

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