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2011年12月20日

股関節の弱い投手は、強いボールを投げることができない


投手にとって最も重要な関節の1つに、股関節があります。股関節は肩関節同様に重要だと考えるべきなのです。しかし現状を見ると、肩周りのトレーニングをしている投手は多くいますが、股関節のトレーニングをしっかりと行なっている投手はほとんどいないようです。さらには股関節に柔軟性がないということを自覚しながらも、その改善に本気で取り組もうとしていない投手が多いことも事実。これが草野球であったり、趣味の範疇でプレーをしているレベルであれば特筆すべきことではありません。しかし今あなたがこの投手育成コラムを読んでくださっているということは、少なくとも今よりもさらに上のレベルでプレーをしたいと考えているはずです。もちろん草野球プレイヤーも含めてです。

股関節を鍛えるためには、アウフバウトレーニングが最適です。これは非常に地味なトレーニングではありますが、本格的に取り組むとなると、プロレベルの投手であっても苦しいトレーニングとなります。しかしアウフバウに本気で取り組めば、間違いなくもう一段上のプレーレベルを目指すことができます。そして股関節を適切に鍛え上げることで、肩・肘の故障も防ぐことができます。

1つ例を挙げると、股関節の可動域が狭い投手の場合、振り上げた「ステップ足」をアウトステップするしかなくなります。アウトステップになるということは、ボールが打者から見えやすくなります。すると痛打される可能性が高まり、それを防ぐために今度は力み出します。力んで投げ続けてしまえば、それは簡単に肩痛・肘痛に繋がってしまいます。さらに付け加えれば、ステップ足をアウトステップで着地させてしまうと、その分肩の運動幅が大きくなってしまいます。フォームそのものは大きく見えるかもしれませんが、これは明らかな「無駄な動き」です。そして無駄な動きは、何度も言いますが故障に繋がるばかりではなく、パフォーマンスを低下させる原因となります。

逆に股関節が適切に鍛えられていて、可動域も確保できている投手の場合、ストレートステップだけではなく、インステップで投げることもできます。インステップで投げればそれだけボールが打者から見えにくくなり、それほど速くはないストレートでも打球を詰まらせることができます。股関節の可動域が確保されていると、インステップをしても肩の運動幅を広げることなく、股関節で体を回旋させることにより、投球することが可能になります。するとボールに切れが出て、無駄な動きがない分肩・肘の故障を防ぐこともできます(ただい内転筋への負担は大きくなります)。

さて、ここで別の角度から股関節を見ていくことにしましょう。股関節が鍛えられておらず、可動性も低い場合、ステップ脚を大きく振り上げることができなくなります。例えばダルビッシュ有投手を見てみてください。振り上げた左脚の膝が、胸に付くほど高く上げられています。これは股関節周辺が適切に鍛えられていて、可動性も高いということを意味しています。股関節が適切に鍛えられ、ダルビッシュ投手のようにステップ脚を高く振り上げることができれば、その動作により大きな「位置エネルギー」を得られるようになります。位置エネルギーは物理学的に「Nm(ニュートンメートル)」という単位で計っていくわけですが、このエネルギーを最大限にし、上手くボールに伝えることにって、力強いボールが投げられるようになるのです。しかし言い方を変えれば、大きなエネルギーを生み出しても、それをボールに伝えられなければ意味はありません。

下半身で生み出したエネルギーは、必ず股関節を介して上半身へと伝わっていきます。つまり股関節のコンディショニングが悪ければ、いくら下半身を鍛え上げても意味がないわけです。なぜなら弱い股関節では、下半身で生み出したエネルギーを上半身に伝えることができないからです。エネルギーを下から上へと上手く伝達させ、ボールに込められるエネルギーをより大きくするためにも、股関節の強化は絶対に欠かすことは出来ない要素なのです。しかし股関節のトレーニングには注意も必要です。強さがあっても可動性が低ければ意味がないし、可動性が高くても強さがなくてはやはりこれも意味がありません。つまり強化トレーニングとストレッチングのバランスが非常に重要で、そして難しいのです。ですが適切に鍛え上げられた股関節があれば、必ずもう一段階上にプレーレベルを引き上げることができるはずです。アウフバウトレーニングは非常にきついトレーニングですが、もしあなたが今よりも上を目指している投手であるならば、ぜひ挑戦してみてください。


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コラムカテゴリー:トレーニング
コラム著:Coach Kaz
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