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2011年08月22日

先発タイプはロングラン、リリーフタイプはスプリントを多めに



先発タイプの投手とリリーフタイプの投手は、トレーニング方法やコンディショニング方法を適切に区別させていくべきだと僕は考えています。その根拠のひとつを、この記事でかんたんに解説してみたいと思います。

ランメニュー1つとっても、やはり先発とリリーフとではメニュー内容を分けて考えていく必要があります。結論から言えば、先発タイプはロングラン中心のメニューにし、リリーフタイプはスプリント中心のメニューにすべきでしょう。その理由は、ランメニューをこなすことによって体内に生成される、あるタンパク質がロングランとスプリントでは変わってくるためです。

そのタンパク質の名前はMTC(Monocarboxylate Transporter : 乳酸輸送担体)と言います。このMTCには、MTC1からMTC14まで14種類存在しています。そしてこの中で今回取り上げるのは、MTC1とMTC4の2つ。さて、その解説に入る前に、MTCのかんたんな説明をしておきましょう。MTCとは、乳酸を体内に移送する役割を担っています。つまり乳酸を運動エネルギーとして使うためには、このMTCが必要ということになります。ちなみに乳酸=疲労という認識を持っている方は、その考え方はもう忘れてしまってください。乳酸=疲労でもなければ、乳酸=老廃物でもありません。乳酸は疲労時、休養時問わず、常時体内に存在するものであり、運動をするためには非常に重要なものなのです。

ここでMTCに話を戻しましょう。まずMTC1ですが、これは中長距離のロングランメニューを行なうと体内で増加されます。そしてMTC4は逆に、スプリントメニューを行なうと増加されます。なおメニューは、単発的なものではMTCを増加させることはできません。最低でも3~6週間以上の継続的トレーニングを行なわなければ、MTCは増えては行きません。さらには常に同レベルのトレーニングだけでも増加は見られず、特にMTC4を増加させるためにはトレーニング強度も徐々に上げていく必要があります。

トレーニングメニューによって増加するMTCの種類が違うということを考えると、先発・リリーフそれぞれでトレーニングメニューを変える必要がある、と言うと少し分かりやすくなるかもしれません。先発投手のように、長いイニング・多い球数において安定したパフォーマンスを発揮するためには、MTC1がより必要となります。そしてMTC1を体内に増加させるためには、ロングランメニューが必要になってきます。一方リリーフ投手のように短いイニング・少ない球数において爆発的なパフォーマンスを発揮するためには、MTC4が必要となり、それはスプリントメニューで体内に増加させることができるわけです。

MTC1は主に遅筋線維に取り組まれるため、先発投手のような持久的パフォーマンスを要される場合に役立ちます。一方のMTC4は速筋線維に含まれ、瞬発的パフォーマンスを要される場合に役立ちます。先発投手に必要なのは長いイニングを投げるための持久的運動エネルギーであり、短いイニングを全力を抑えに行かなければならないリリーフ投手には、瞬発的運動エネルギーが必要となるわけです。そしてそれぞれに必要なタイプのエネルギーを得るためにも、やはり先発とリリーフとではトレーニングメニューには変化が必要というわけです。

とは言っても、先発投手はロングランだけ、リリーフ投手はスプリントだけやっていればいいというわけではありません。あくまでもロングラン中心、スプリント中心というメニューを組むべきであり、偏ったトレーニング方法は決して良いとは言えません。例えばプロ野球の先発投手でも、先発する前日にはスプリントメニューを増やし、体に切れを出すなどの調整を行なっています。そしてリリーフ投手に関しても、2~3km走っただけですぐに息がぜえぜえと上がってしまうような状態では高いパフォーマンスを発揮することはできません。あくまでもバランスを保った上で、自らのタイプに、より必要なメニューを多めに取り組むように工夫してみてください。




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