女子選手は、男子よりも捻挫・靭帯損傷を起こしやすい
野球チームで女子選手を指導する際に気をつけてなくてはならないことは、メンタルだけではなくフィジカルも同様です。男子選手と女子選手とでは体形・体格がまったく異なります。例えば最も注意しなければならないのは、骨格と体脂肪率です。今回のコラムでは骨格について少し書き進めてみようと思っています。
骨格で最も気をつけなくてはならないのは、女子選手特有のQアングルです。Qアングルとは、簡単に説明をすると大腿骨の傾き加減のことです。女子は、男子よりも骨盤が広くなっています。そのため、大腿骨が外側から内側に入りながら脛骨と繋がります。X脚を想像していただければ分かりやすいかと思いますが、女子選手は生まれながらにQアングルが深いため、X脚になりやすい傾向があります。Qアングルはもちろん男子選手にも存在しますが、骨盤がそれほど広くないため女子選手ほどの角度はありません。
Qアングルが深いということは、その分横からの衝撃に対して脆さを持ちます。例えば左右に激しい動きをするバスケットボールやテニスなどで、女子選手の靭帯断裂(主に膝前十字靭帯断裂)が多いのはこれが理由です。そしてQアングルの深さに加え、女子選手の場合ホルモンの影響により、靭帯弛緩性や関節弛緩性が男子選手より高くなります。男子よりも女子の方が身体が柔らかい傾向にあるのはこのためです。
Qアングルの深さに加え、靭帯の弛緩性が高い女子選手は、その弛緩性ゆえに回内捻挫も男子選手よりも引き起こしやすくなります。指導者の立場からすれば、女子選手の捻挫や靭帯断裂のリスクは、男子選手以上に常にケアしていく必要があるというわけです。
そして女子選手の場合、捻挫をしていなくても足首に痛みを感じることがあります。これは関節の弛緩性が高いため、運動中において足首が前後に揺れてしまうことが原因です。足首が前後に揺れてしまうことで関節が擦られ、痛みを感じるというわけです。このような傾向が見られる女子選手に対しては、平時からテーピングをさせるなどの指導が必要になってきます。
野球の場合、キャッチャーはもちろんのこと、内野手や外野手であっても他選手と衝突する可能性があります。この衝突が横同士であった場合、ぶつかった両選手が共に大怪我してしまう可能性が、女子選手は男子選手よりも高いのです。ですので女子選手のパフォーマンスを最大限に伸ばしてあげるためにも、指導者はこのような点にも注意して女子選手をコーチングしていく必要があります。



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