野球選手と腕立て伏せ
今回は「野球選手と腕立て伏せ」というテーマで書き進めてみたいと思います。このテーマでは以前も「野村克也監督は江夏投手の肘痛を腕立て伏せで治した?!」でも書いたことがあるのですが、今回はまた違った視点からのレポートとして書いてみたいと思います。
僕はコーチなので、自分で野球をすることはありません。プロ野球選手や子どもたちのコーチングをする際にキャッチボールや投球練習の相手をしたり、バッティングピッチャーを務めたり、ノックを打ったりという程度です。そのため今はガッツリとした内容でトレーニングをすることはないのですが、それでも基本的なトレーニングは続けています。
例えば腕立て伏せは1日おきに100回ずつ、週に計300〜400回やるのですが、今回は普通に腕立て伏せをやるのと、腕立て伏せバーを使った時の違いについて少しレポートしてみたいと思います。
野球選手が腕立て伏せをするなら腕立て伏せバーは絶対必要
結論から言うと、野球選手なら腕立て伏せバーを使うことを強くお勧めします。その理由はやはり、腕立て伏せバーを使った方が肩甲骨を深く動かすことができるため、野球動作に効果的に使える筋肉を作っていくことができます。腕立て伏せバーを使ったフォームに関してはこちらのページをご参照ください
一方バーを使わない普通の腕立て伏せの場合、バーを使った時よりも肩甲骨の動きは浅くなるため、バーを使わない腕立て伏せは、野球選手はあまり多くはやらない方が良いと言えます。
腕立て伏せ中に肩甲骨が深く動かないと言うことは、肩甲骨をあまり動かさない筋肉を作ってしまうことになります。肩甲骨の可動性が低下してしまえば、ピッチングでもバッティングでもパフォーマンスは低下してしまいます。
バーを使わない腕立て伏せにもメリットはある
ただ、上腕三頭筋(球速をアップさせるために使っていく筋肉の1つ)に関してはバーを使った時よりも、バーを使わない腕立て伏せの方が負荷をかけていくことができます。
僕自身バーありと、バーなしの腕立て伏せを自分でやって検証して行った結果、しっかりと正しいフォームで腕立て伏せをしていても、上腕三頭筋への負荷は、バーがない方がいつでも大きくなりました。翌日の筋肉の張り方も全然違います。
バーを使った場合は肩甲骨付近に最も張りが出て、上腕三頭筋に気になるほどの張りが出ることはありませんでした。もちろん回数によっては張りを出すことはできますが、しかし肩甲骨付近に出る張りよりはやはり小さいものでした。
一方バーを使わない腕立て伏せの場合、肩甲骨付近に張りが出ることはほぼありませんでした。しかしその代わり上腕三頭筋の張りが強くなります。これらは1回だけ検証したわけではなく、同じ体のコンディションをそれぞれ作って複数回僕自身の体を使って検証した結果です。
それに加え、手首の負荷はバーを使った時の方が圧倒的に小さくなりました。これはもちろん、バーを使えば手首の屈曲が小さくなり、使わない時は常に手首を90°に曲げて上げ下げしなければならないためです。ですのでバッティングで手首に不安がある選手は、腕立て伏せはバーを使ってやった方が良いと言えます。
野球選手と腕立て伏せに関するまとめ
野球選手にとって肩甲骨の可動性は非常に重要ですので、基本的にはバーを使うべきだと思います。ですが上腕三頭筋が最も鍛えたい箇所である場合は、バーなしで腕立て伏せをすることもありだと言えます。
ただしその場合でも肩甲骨を硬くしてしまうことだけは避けたいので、バーなしで腕立て伏せをやったあとは、このようなストレッチングツールを使っていつも以上に肩甲骨付近のストレッチングを入念に行うようにしましょう。