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2014年02月18日

打者が重いと感じる球と、軽いと感じる球の違い


議論の話題になることも多い、重いボールと軽いボールの球質の差。果たしてどうすれば重いボールを投げることができ、どうなるとボールは軽くなってしまうのでしょうか。今回のコラムでは、この球質の差について書き進めていきたいと思います。

以前テレビ番組で特集されていたこともあるそうですが、バックスピンをかけたボールと、無回転の同じ球速のボールを打った時、無回転のボールを打った時の方が遥かに球質が重く感じられたそうです。確かに同じ球速であれば、回転がかけられたボールよりも無回転の方が重いのでしょう。しかし実際の競技に置き換えると、この実験はあまりにも現実的ではないと言えます。その理由はサッカーなら可能であっても、野球のピッチャーが無回転のストレートを投げることはほとんど不可能だからです。

無回転のボールの方が球質が重くなるのならば、同じ球速であるならばRPS(ボールの回転数)が40を超えるボールよりも、30のボールの方が重いということになります。ですが実際のパフォーマンスに於いては、RPS35の145kmのストレートよりも、RPS40の145kmのストレートの方が遥かに打ち辛く、打者はその球質を重く感じるようになります。

例えば藤川球児投手の火の玉ストレートのRPSは45回転となり、バックスピンの傾きは5°程度でこのボールの初速は149km。藤川投手はタイガース時代、年間で1~2本しかホームランを打たれないシーズンがほとんどでした。つまり藤川投手のボールは、それだけ遠くへ飛ばすことが難しい重いボールだったのです。

パワーとは、質量×速度で計算することができます。ですが同じ重さのボールを同じ速度で投げていても、投げる投手によってそのボールの重さは変わってきます。するとやはり影響してくるのは、ボールの回転数ということになります。ボールをより遠くへ打ち返すためには、打球にバックスピンを与える必要があります。つまりバックスピンストレートの回転方向を、真逆に変えるということですね。カーブやスライダーなどはトップスピンに近い回転が投球時に与えられているため、打者からすると打球にバックスピンをかけやすくなり、ジャストミートされると長打になりやすくなります。だからこそ変化球は打者が打球をコントロールしにくい、バットから遠い低めに投げる必要があるのです。

一方バックスピンストレートは、回転方向を変えることができない状態のまま打ち返すと(トップスピンの打球)、打球はゴロになりやすくなります。こうして考えると球質の重いストレートというのは、投手が投げたバックスピンストレートを、バットで叩き回転方向を真逆に変えにくいストレートである、と定義することができます。

18.44mという距離に於いて実際のパフォーマンスを観察すると、その分かれ道はRPS40より上か、下かということになるのではないでしょうか。ボールがこの距離の間で40回転以上するストレートだと、打者がバットを使って回転方向を変えることが難しくなります。すると打球に鋭いバックスピンをかけることができず、飛距離は短くなり、打者はそのボールを重いと感じるようになるのです。

一方18.44mの間で33回転しかしない、一般的な投手が投げるバックスピンストレートの場合は、打者がバットを使ってボールの回転方向を真逆に変えやすくなり、打ち返した打球にバックスピンがかかることにより飛距離が伸び、打者はそのボールを軽いと感じるようになるのです。更にバックスピンストレートの回転角度が傾き、サイドスピンに近付くほどボールに働くマグナス力(ボールを浮揚させようとする力)が低下し、伸びのないミートしやすいストレートになってしまいます。

一時期ジャイロ回転のストレートが注目されていましたが、ジャイロ回転で150km近いストレートを投げられれば、それは最強のボールになるかもしれません。しかし現実的にはその球速でジャイロ回転のストレートを投げている投手はほとんど皆無です。アンダーハンドスローの投手ではジャイロ回転のボールを投げているプロ投手も実際に存在していますが、しかしその球速は速くても130km前後となり、魔球と呼べるほどの威力を持つことはできません。

そろそろ話をまとめていきましょう。物理的に考えるのではなく、現実的に考えた場合、野球のピッチャーが無回転のボールを投げることはできません。ナックルボールが最も無回転に近いボールとなりますが、ナックルの握りで140kmを超えるストレートを投げることは不可能です。これが絶対条件としてある限り、重いボールを投げるために必要なのは18.44mの間に、ストレートに40回転以上のバックスピンを与えるということになります。

逆に軽い球質のストレートとは、18.44mの間で35回転を下回るバックスピンしかかかっていないボールということになります。ただしボールを重く感じたり軽く感じたりというのは、これは実際にそのボールを打った打者たちの感覚の話でしかありません。本当の意味で物理的に球質の重さを計算する場合、1ボールの重さ、2ボールの速度、3ボールの回転数、4ボールの回転軸の角度、5ボールの軌道の縦と横の角度、6ボールとバットがぶつかり合う角度など、最低でもこれだけの要素を複雑に計算する必要があります。ですがこのような計算をすることは、物理学者じゃなければほとんど不可能です。

だからこそLittlerockheartでは18.44mの間に40回転以上バックスピンするストレートを重いと定義し、35回転を下回るストレートを軽いと定義し、その中間の回転数にあるストレートを一般的なストレートと定義したいと思います。もしこれを読まれている方が長打を打たれにくい、重い球質のストレートを投げることを目指しているのならば、40回以上バックスピンするストレートを投げられる投球動作を、キネティックチェインという理論を踏まえながら作り上げていってください。

ちなみに「キネティックチェインが不適切な投球動作+バックスピンの傾きが大きいストレート」である場合、40回転を超えるストレートを投げることはできません。どんなに大きくても10°以内の傾きで抑える必要があります。藤川球児投手は前述した通り5°の傾きで、45回転のストレートを投げることができますが、10°傾いている松坂大輔投手の場合は40回転に留まってしまいます。

長打を打たれないボールを投げることは、投手ならば誰もが求めることですよね。そんなボールを投げられるようになる投球動作を作り上げるためにも、ぜひLittlerockheartで本気のパーソナルコーチングを受けてみてください。

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