実は早出練習ではなかったアーリーワークの本当の意味

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ページ公開日:
ページ更新日:2022年10月15日

アーリーワークと早出練習は似て非なるもの

近年日本の野球界でもアーリーワークという言葉が定着してきました。しかしこのアーリーワークというものを、正確に理解して取り組んでいる選手、チームは少ないようです。先日僕は、埼玉西武ライオンズの1軍打撃コーチだった熊澤とおるコーチ(松井稼頭央監督のメジャーリーグ時代のパーソナルコーチ)にもお話を伺ってきたのですが、アーリーワークと早出練習は似ているようで、実はまったくの別物なんです。ちなみに日本球界で最初に本格的にアーリーワークを導入したのは、2008年に埼玉西武ライオンズで打撃コーチを務められたデーブ大久保コーチと熊澤とおるコーチでした。

現状では多くのチームで早出練習のことをアーリーワークと呼んでいます。チーム練習よりも数時間早くグラウンドに入り、ティーバッティングや特守で汗を流す、それをアーリーワークを呼んでいることがプロでもアマチュアでも多いようです。しかしこれは、厳密な意味ではアーリーワークではありません。純粋に早出練習というのは、英語ではアーリートレーニング、アーリープラクティスとでも呼ぶべきでしょうか。でもこのような言葉はあまり耳にはしません。ではアーリーワークとは本来何を意味するのでしょうか?!

アーリーワークはどう理解すべきなのか?!

僕自身、熊澤コーチにお話を伺い、自らでも学んだことなのですが、本来のアーリーワークとはコアトレ、つまり体幹トレーニングをするための時間のことなんです。チーム練習の開始時間よりも早くグラウンドに入り、チーム練習や試合で良い形で軸運動(投げたり打ったり走ったり)ができるように、コア(体幹)をしっかりとコンディショニングしたり、コアを起こしたりする作業、これが本来のアーリーワークの意味なんです。

コアトレーニングに関しては本屋を覗くと数え切れないほどの書籍が出版されていますし、プロのトレーナーの方が配信しているYouTube動画もたくさんあります。しかしその中で本格的に練習を頑張っているプロアマの野球選手が、コアトレーニングへの理解を正しく深められる情報量の多い本や動画は少ないようです。僕自身コアトレに関する本は何冊も読み漁りましたが、その中でも何度も読んで学びたいと感じた本は1~2冊程度でした。つまり何が言いたいかというと、正しい形でアーリーワークをこなしていくためには、アーリーワークという言葉の意味だけではなく、コアトレーニング法に関しても正しい理解が必要、ということです。

アーリーワークに取り入れたいアウフバウ

アーリーワークについてもう少し話を進めていきましょう。トレーニングに少なからず興味を持っている選手であれば、アウフバウトレーニングというドイツのリハビリ系トレーニングメニューについて聞いたことがあると思います。これを導入していくのもアーリーワークの時間帯が望ましいのです。

アウフバウとは簡単に言えば股関節のコンディショニング&強化トレーニング法です。これは動きそのものは静かで地味なのですが、本格的に取り組むとウェイトトレーニングよりもはるかにきついトレーニングとなります。日本の野球界では現役時代の工藤公康投手がアウフバウにより選手寿命を延ばし、さらには熊澤コーチのアドバイスによりアウフバウを取り入れたことで、メジャー時代の松井稼頭央選手は復調することができました。

アーリーワークでは肩甲骨、股関節、コアをしっかりと整えよう!

野球選手は比較的、肩に関しては神経質に考えたりしますが、しかし同じ臼関節である股関節に関しては無頓着な選手がプロでもまだ多いようです。肩関節と股関節は無数にある人体の関節の中で、この2つだけが回旋運動(内旋・外旋)をすることができます。言い方を変えると、肩と股関節に関しては回旋運動が加えられていることが、本来のメカニズムに則した動作だと言うことができます。

つまり、回旋運動のない肩関節・股関節の使い方は、本来人間が持っている体の構造を無視した使い方である言うことができ、これは故障を引き起こす大きな要因ともなります。現に野球肩・野球肘になってしまう選手のほとんどは、肩関節と股関節の内外旋を適切な順番で行うことができていません。

肩関節(厳密には肩甲骨)、股関節、コアを、しっかりと運動ができる状態にコンディショニング&強化する時間が、アーリーワークなのです。アーリーワークとは早出特打ちをする時間ではないわけなのです。本来のアーリーワークは、グラウンドに選手が寝そべって、リラックスをしながらコアトレをしたり、臼関節の可動性を高めることを目的とします。

これは切れないのこぎりと丸太の話によく似ています。切れないのこぎりで一生懸命丸太を切ろうとするよりも、切れないのこぎりを一度研いでから丸太を切った方が、はるかに効率良くしかもきれいに丸太を切ることができます。アーリーワークとはピッチングやバッティングのパフォーマンスを高めるための、のこぎりを研ぐ時間であると考えてください。

実は早出練習ではなかったアーリーワークの本当の意味

メジャーリーガーは上半身の強さだけでプレーしているという嘘

メジャーリーガーは筋肉が凄いからみんな上半身投げをしている、と考えている方は意外と多いのかもしれませんが、それは間違いです。中には元プロ野球選手である野球解説者であってもテレビやラジオでそう言い切っている方がいますが、その認識は完全に間違いであると断言できます。

MLBでは「日本プロ野球はAAAよりは上かもしれないけど、MLBには敵わない」と考えられています。実際そうだと思います。日本にやってくる助っ人選手のほとんどはメジャーに昇格できないマイナー選手で、中には韓国や台湾を経由してやってくる助っ人選手もいます。この現実を考えると、確かにNPBとMLBが本気でぶつかり合えば、NPBがMLBに勝つことは難しいでしょう。

なぜこのような話をするのかと言うと、日本では上述したように野球解説者であっても「メジャーリーガーは上半身のパワーでプレーをしている」と考えているからです。ですが冷静に考えれば、いくらパワーがあったとしても本当に下半身を使っていなければ、軸運動が安定することはないため、ピッチングでもバッティングでもパフォーマンスが向上することはありません。そのため上半身だけでプレーしているという認識は間違いだと言えるんです。

日米で下半身の使い方が違うのはマウンドの硬さが影響している?!

確かに下半身の使い方は、日本人投手とメジャーリーガーとでは異なります。それはマウンドの形状も関係しており、日本のマウンドは比較的柔らかいため、重心を下げられるだけ下げても足部に残ったエネルギーを解放しやすいんです。一方アメリカのマウンドは粘土質で、日本のマウンドよりもずっと硬いんです。そのため重心を下げ過ぎてしまうと足首への負荷が大きくなり、捻挫してしまうこともあります。一つの理由として、捻挫しないためにメジャーリーガーは重心を高くして、自然と足首に負荷のかからない投げ方を身に付けてきたわけなんです。

日本人の元メジャーリーガーで言えば、松坂大輔投手や和田毅投手は重心が低い投げ方をしていました。一方上原浩治投手や岩隈久志投手は重心をそれほど低くはしないタイプです(勝負球の種類の違いもありますが)。このタイプ分けも、メジャーで活躍できる日本人投手を探す一つのポイントになるのではないでしょうか。

では重心が高いのに下半身を使えていると言えるのか?はい、言えるんです。メジャーリーガーは、ボディスピンを鋭く作ろうとします。つまり体幹を使うということですね。メジャーリーガーは上半身と体幹を、日本人選手以上に使います。そのため上半身投げだと勘違いされるわけですが、しかしそれだけ上半身と体幹を強く使っても、軸がブレてしまっては意味がありません。つまり上半身と体幹を強く使ってもブレないようにする役割を、メジャーリーガーは下半身に課しているのです。メジャーリーガーだって、ほとんどの選手はしっかりと下半身をt使ってプレーしているんです。

一方日本人投手の場合は、外国人選手に比べると上半身や体幹は強くありません。日本のプロ野球で腹筋がきれいなシックスパックになっている投手はメジャーリーガーほど多くはありません。しかしメジャーリーグではシックスパックなど珍しくもなんともありません。

このような日米の違いからも、メジャーリーガーの体幹は、日本人選手にはないほど強くしなやかに鍛えられているケースが多いんです。だからこそボディースピンによって鋭く腕を振り、それによって強烈なボールを投げることができるようになります。メジャーリーガーが投げるあの強烈なボールは、決して腕力だけで生み出しているものではないんです。そもそも腕の太さだけでメジャーリーグで通用するボールを投げられるのならば、日本人投手だってもっと簡単にメジャーで活躍できるはずです。

欧米人は上腕三頭筋、日本人は上腕二頭筋が鍛えられやすい

さて、もう一点。上腕には上腕二頭筋と上腕三頭筋という大きな筋肉があります。日本人は上腕二頭筋を大きくしやすいのですが、上腕三頭筋は大きくしにくい人種なのです。欧米人はこの逆で、上腕二頭筋は鍛えにくく上腕三頭筋はよく鍛えられます。ちなみにアフリカ系選手は腸腰筋群を鍛えやすい人種だと、スポーツ科学の世界では言われています。

では上腕二頭筋と上腕三頭筋、ボールを強く投げるために活躍する筋肉はどちらだと思いますか?もうすでにおわかりかと思いますが、答えは上腕三頭筋です。投球時には90°程度に曲がった肘をある程度まで伸ばしながらボールを加速させてリリースしていきます。そこで曲がった肘を伸ばしていくのが上腕三頭筋の役割なのです。

上半身の強さでプレーをしている、という視点で見るならば、確かに上腕三頭筋が発達している欧米人の方が、強いボールを投げやすい体質だと評価することはできます。でももう一度言いますが、だからと言ってメジャーリーガーは上半身だけでプレーをしているということはありません。特にメジャーリーグでプレーするレベルにある選手たちは、下半身・体幹・上半身を本当にバランス良く使うことができています。だからこそ160km/hを投げるピッチャーがあんなにたくさんいるんです。そしてその一因になっているのがアーリーワークというわけなんです。

日本人選手も正しいアーリーワークを導入すべき?!

日本のプロ野球を少し穿った目で見ると「中年太りし出していても1軍で活躍できる」と言うこともできます(太っていても力士のように体脂肪率が低い選手は別)。中年太りしているということは、体幹はかなり弱いはずです。下半身で作り出したエネルギーは必ず股関節と体幹を経由して上半身へと伝わっていくため、体幹が弱ければ下半身で作られたエネルギーが上半身に上手く伝わって行かず、ボールは上半身の力で投げるしかなくなります。

僕がプロコーチとしてメジャーリーガーや日本の1軍選手の技術、フィジカルを観察していくと、意外と思われるかもしれませんが、日本の方が上半身主体でプレーしている選手が実際には多いんです。特に体幹の使い方の巧さに関しては、全体的に見えると日本人はメジャーリーガーにはまったく敵わないのではないでしょうか。メジャーでは、メジャーとマイナーを行ったり来たりしているレベルの選手であっても、下半身と上半身をバランス良く使えている選手がほとんどで、それを可能にするためにもアーリーワークに手を抜かない選手がとても多いんです。

日本のプロ野球がメジャーリーグの上を行くために必要なのは、身体を大きくすることではありません。アマチュア時代から、今まで以上に下半身・体幹・上半身をバランス良く連動させて使えるようになることだと僕は考えています。 特にアーリーワークによってコア、股関節、肩甲骨をしっかりと整えておくことは、プレーの質や軸の安定感を向上させるためにはとても重要な要素となります。そしてそれが安定してくれば、怪我のリスクを軽減させることにも繋がります。

アメリカに大きくお遅れをとっている日本球界の指導者たち

ワールドシリーズの覇者と日本シリーズの覇者が7戦4先勝のシリーズを戦ったら、日本が勝てる確率はかなり低いのではないでしょうか。もちろん僕も、メジャーリーグがすべて正しいとは考えていません。しかし現時点においては技術、フィジカル共に日本はアメリカよりも大きく遅れを取っています。

特にアマチュア指導者に関しては、日本は未だに30年以上前のやり方で教えている方が大勢います。しかし技術やスポーツ科学は進化し続けています。アメリカの少年野球チーム(リトルリーグ)には、各チームに1人ずつ、僕のようなプロコーチが派遣されているんです。ですので常に最新理論で子どもたちは野球動作を学ぶことができます。この日米の大差を見ると、まずはアマチュア指導者たち(ボランティアのお父さんコーチを含む)がその技術進化に追いつくところから始めるべきなのかもしれませんね。

なぜ夜練よりも朝練の方が練習効果が高まるのか?!

朝練のことをアーリーワークを呼ぶ選手たちもいますが、もちろん認識としてはこれは正しくありません。ですが気分を盛り上げるために朝練のことを格好良くアーリーワークと呼ぶのはありだと思います。そして野球を上手くなりたいのなら、絶対に朝練はすべきです。といってもこれは、根性論から言っているわけではありません。「朝練をしないような選手は上手くなれない!」と言いたいわけではありません。あくまでも科学的理論に基づいてのアプローチです。

なぜ朝練が良いのか?それはですね、寝起きというのは筋肉や関節がニュートラルな状態になっているからです。地球上で暮らす限り、人間の動きには常に重力が伴います。そしてその重力は朝起きて、時間が経てば経つほど身体への影響を積算させていきます。つまり、寝起きと寝る前とでは、筋肉や関節の状態はまるで違うということです。人間の一生に例えるならば、寝起きの筋肉が生まれたての赤ちゃんで、寝る直前の筋肉はお年寄りと表現することもできます。

その日のお年寄り状態である時間帯の筋肉は、寝起きと比べるとかなり硬くなってしまっています。それに伴い関節も詰まってしまっています。それは丸一日身体が重力にさらされることで、重力に対抗し終えた状態になっているからです。逆に寝起きの筋肉は、まだ重力にさらされていません。そのために一日の中で、筋肉や関節は最もほぐれた状態にあるわけです(ただし運動前には必ずウォームアップは必要です)。

関節が詰まった状態でのみ練習しても、最高の結果は得られない

このほぐれた状態で例えばシャドーピッチングをすることで、身体はスムーズに良いピッチングモーションを覚えていきます(マッスルメモリー)。逆に重力に対抗し終えた、関節が詰まってしまった状態でシャドーピッチングを繰り返しても、練習の効果は得られますが、最高の効果を得ることはできません。

そして朝は、一日の中で最も酸素濃度の薄い時間帯です。逆に夜は、最も酸素濃度の高い時間帯です。朝30分ジョギングするのと、夜30分ジョギングするのとでは、まったく効果が変わってきてしまいます。もちろん酸素の薄い朝に走った方が、心肺機能は高くなります。

早起きは三文の得とはよく言いますが、しかし野球選手にとっての早起きは三文どころか、もっともっと価値があるものなのです。ですので本気で野球を上手くなりたければ、朝練をする習慣を付けていただきたいのです。

そして土日にしか野球チームの練習がないような場合では、チーム練習前の早朝にアーリーワークによって体幹の強化やコンディショニングを行っておくと、午前中や午後の試合で良いプレーをしやすくなります。

腕や脚の筋肉に比べるとやや見落とされがちな体幹ではありますが、アーリーワークを継続的に行うことによって、下半身と上半身の連動性をさらに高めることができ、ピッチングでもバッティングでもパフォーマンスが向上しやすくなります。

逆にアーリーワークによって体幹が鍛えられていないと、せっかく下半身を使って大きなエネルギーを作り出しても、それが上手くボールやバットに伝わらなくなってしまいます。そうならないためにも、練習や試合前に行う本当の意味でのアーリーワークを継続していく必要があるんです。

野球動作はピッチングもバッティングも軸運動であり、ボディスピンの鋭さが球速アップやバットスウィングの速度アップに繋がっていきます。そしてその鋭さはよく鍛えられ、よくコンディショニングされた体幹なくして実現させることはできません。

ですのでもしアーリーワークを早出練習と勘違いしてしまっていた選手やチームは、ぜひここで正しいアーリーワークの行い方を知ってもらい、コアトレやアウフバウを行う時間としてアーリーワークを取り入れて行ってみてください。

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コラム筆者:カズコーチ@プロの野球コーチ
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