今回のスラッガー養成コラムでは、重いバットと軽いバットとではどちらが良いのか、ということについて書き進めてみたいと思います。まず結論から言うと、僕は軽いバットの方が良いと考えています。特に体が出来上がる前の小中学生に関しては、重いと感じるバットは避けた方が無難です。。
バッティングではスウィング速度が重要
バッティングでは、バットのスウィング速度が非常に重要な要素になっていきます。もちろん軽すぎるバットは逆に良くないわけですが、多少軽く感じる程度のバットの方が、重いバットよりも速く振ることができます。すると筋肉がその速い動きを覚えていってくれますので、体が大きくなってバットが少しずつ重くなっていっても、速いスウィング速度を維持できるケースが多くなります。
逆に「身長はすぐに伸びるから少し長めのバットを買っておこう」と考えてしまうと、小学生選手にとっては重すぎるバットになってしまうことがあります。重いバットでは最速で振ることはできませんので、遅いスウィング速度を筋肉が覚えてしまい、体が大きくなっても意外とスウィング速度がアップしない、というケースがよく見受けられます。
スウィング速度が速いほどミート力もアップする
スウィング速度が遅いと、ピッチャーが投げるボールがまだ手元まで来ていない段階でバットを振り始めなければ、完全に振り遅れる形になってしまいます。しかし始動を早くしてしまうとボールの見極めが困難になり、ボールがどこに飛んでくるのかという予測も立てにくく、選球眼もミート力も低いバッターになってしまいます。
逆にスウィング速度が速いと、ボールをギリギリまで見極めてから振り始めても、振り遅れることなくしっかりとミートすることができます。そのためボール球に手を出すことも減り、四球を増やせるようになることで打率も上がりやすくなります。スウィング速度は飛距離をアップさせるためだけではなく、ミート力をアップさせるためにも非常に重要な要素なんです。
バットは成長に合わせて買い換えるのがベスト
身長に対して長すぎるバットはドアスウィングになりやすいですし、重すぎるバットはスウィング速度を低下させます。ちなみに中高生になると1kg程度の非常に重いマスコットバットを振り始める選手も多いのですが、これはやめるべきです。重いバットでトレーニングした選手と、普通の重さのバットでトレーニングをした選手とでは、スウィング速度にほとんど差は生じないというエビデンス(検証実験によって証明された結果)もあります。つまり日常的にマスコットバットを使うことは、腰椎分離症のリスクを高めてしまうだけで、スウィング速度の向上にはほとんど役立たないということです。
これは以前のスラッガー養成コラムでも書いたことですが、理想は最初の8割は普通の重さのバットでトレーニングをし、最後の2割くらいの練習を軽いバットで行うというのがベストです。軽いバットで、より速い動きでトレーニングを締めることによって、筋肉が速い動きに馴染んだ状態で動作を覚えてくれるようになるんです。つまり筋肉を高速で動かしやすくなる、ということです。僕のオススメとしては、小学生のうちは安いバットを成長に合わせて1〜2年置きに買い換えるのが良いと思います。小学生用の金属バットはちゃんとしたメーカーのものでも5000円程度ですので、仮に6年間毎年買い替えたとしても、小学生用のビヨンドマックス1本分よりも安上がりなんです。親御さんは、このあたりも考えてあげると良いかもしれませんね。