疲労がたまっている時はしっかりと休むという勇気も必要です。高校野球などでも休みなく毎日練習をしているケースが多々あるようですが、上達を目指すためには効率的とは言えません。「疲れているなぁ」と実感できる程度の疲れがある時は、年代を問わずしっかり休んでまずは疲れをとるべきです。
疲れた状態で練習を続けても怪我をするだけ
疲れがたまっている状態で練習をしても、体が疲れている状態を前提にした動作になってしまうんです。ベストコンディション時の動作とはもちろん異なり、疲れている前提の動作を体が覚えてしまいパフォーマンスがなかなか上がらなくなる、というケースもあります。練習は何のためにするかと言うと、いつでもベストコンディションでベストな動作をできるようにするためです。
ベストな動作を試合で取っていけるからこそ、ベストピッチングを見せられるようになります。しかし体に蓄積疲労があると、体が重い状態で動作を繰り返すことになり、少しずつ動作のバランスを崩し、パフォーマンスが低下するだけではなく怪我にも繋がってしまいます。これがコンディションを整えないと怪我をしやすいという1つのメカニズムです。
コンディショニングが選手やチームを強化する
コンディショニングとは非常に重要です。例えば10年くらい前、埼玉西武ライオンズのコンディショニングチームは他球団と比べるとまだまだ脆弱なものでした。そのため故障者も続出し、戦力が整わないシーズンも少なくありませんでした。しかし近年のライオンズはコンディショニングチームを強化し、故障者がほとんど出なくなりました。主力がベストコンディションを維持しやすくなり、怪我やパフォーマンス低下のリスクも軽減し、リーグ2連覇という偉業を達成したわけです。
学童やリトルリーグを観察していても、毎年のように優勝争いに加わるチームは、他チームよりも長時間ストレッチングに時間を割き、子どもたちの疲労を抜くことと疲労をためないことを重要視しています。野球肩野球肘に関しては、動作指導を行えなければ減らすことは難しいわけですが、しかしそれ以外の要因での怪我のリスクを減らせるだけでも、子どもたちの上達速度はアップするようになります。
疲れはたまる前に抜くのが効率的
どこか少し痛い、疲れがたまっている、風邪気味、というようなコンディショニングで練習をしても良い効果は望めません。例えば咳を1回すると100メートル前後走っただけの体力を消耗するとも言われています。また、咳やくしゃみをしながら練習をしても、良い動作で動き続けることは不可能です。野球の練習というのは良い動作の再現性を高めるために行うものですので、良い動作を取り続けられないコンディションで練習を続けても、良い動作を身に付けることはできません。つまり技術的に上達することはできません。
疲れている時はしっかり休んで疲れを抜く。これは上達するためには不可欠なアプローチです。「疲れているけど頑張ろう」も良いのですが、重要なのは毎日休みなく練習をすることではなく、良い動作を続けてそれを体に覚えさせられるかどうかです。ですので良い動作を続けられない程度の疲れがある日、もしくは練習をしていてそのような疲れが出てきたら無理することはなく、しっかり休むようにしましょう。疲れはたまればたまるほど抜きにくくなり、逆にたまり切っていない疲れはすぐに抜けてくれます。ですので疲れはたまる前に抜く、ということを心掛けながら日々の練習に取り組むようにしてみてください。