当野球塾にはイップスに悩んでいる選手もたくさん通っています。イップスというのはスポーツでは主にゴルフのパターで使われていた用語でした。近い距離ほど、簡単なプレーほど体が上手く動かなくなり、思った通りのプレーができなくなってしまう状態です。メンタルの問題と言われることも多いのですが、しかし根本的にはメンタルの問題ではありません。
野球では、ある日突然キャッチボールをしていても相手がいるところにまったく投げられなくなってしまう状態のことがイップスと呼ばれています。メンタルが萎縮してしまい、腕を振ることができなくなってしまったと考えられていることも多いようです。確かに事実そう表現することもできます。しかし繰り返しますが、イップスというのは根本的にはメンタルの問題ではないのです。投手育成コラムでは初回から言い続けていることです。
これまでに数十人のイップスに悩んでいる選手をコーチングし、改善へと導いてきましたが、送球・投球動作に何の問題もなくイップスになっている選手は一人もいませんでした。イップスに悩んでいてコーチングを受けに来てくださる選手はたくさんいるのですが、送球難の原因になっている動作を時間をかけて丁寧に修正へと導いてあげると、必ずイップスという状態から脱却することができます。
野球経験の長い選手が突然イップスになってしまい、キャッチボールもまともにできなくなっている状態であっても、10回コースを修了する頃には皆さん、またちゃんとキャッチボールができるようになっています。
問題は、自ら「イップスだ」と思い込んでしまうことです。私たちのようなプロのコーチから見れば、動作に問題があってパフォーマンスが低下しているだけという状態であっても、選手自らがイップスだと思い込んでしまうことにより、メンタルに悪影響を及ぼしていることがほとんどです。これに関してはイップス研究所の河野先生も同じことをインタビュー等で仰っています。
イップスを改善へと導いてくれるメンタルクリニックもあります。しかしそこでメンタルのコンディションが改善したとしても、イップスになってしまった原因動作を改善できなければまた送球難に苦しむことになります。ですのでまずはメンタルよりも先に、人それぞれの原因動作を改善する必要があるわけです。
イップスをメンタルの問題にしてしまうと、改善までに非常に時間がかかってしまいます。最悪の場合、イップスが改善されずに野球を断念してしまうというケースもたまに耳にします。それと、イップスとノーコン病を一緒に考えてしまっている方も非常に多いようです。
ノーコン=イップスではありません。ノーコン状態を悩んで悩んで思いつめてしまった状態がイップスです。つまり仮にイップスだったとしても、イップスの原因となっている動作を改善することでパフォーマンスが安定すれば、メンタルの問題に至ることもないということです。もしくはメンタルの問題から脱却し、戻ってくることができるということです。
「自分はもしかしたらイップスかもしれない・・・」と思ったら、それ以上は考えないでください。当野球塾のようにイップスの原因動作を改善できる野球塾を探し、その動作をプロコーチの力を借りて時間をかけ、丁寧に改善していってください。そうすればもう自分がイップスだとは思わなくなるはずです。