パフォーマンスをアップさせるためには、しっかりと重心を落としておくことが重要です。重心が高ければ踏ん張りが弱くなり、踏ん張りが弱ければ下半身で動作を安定させることができず、手だけでボールを投げなければならない状態になり、制球力も球速もアップさせることはできません。
重心を下げたり、踏ん張ったりする動作がまったくわからない小中高生も多いようです。友だちと相撲や押し相撲をしたことがないという選手も多いようです。やはり小学生の頃に友だちと相撲などをして遊び、重心を下げて踏ん張るという動作を体で覚えておくことが野球にとっても重要だと感じられます。
では投球動作に於いて重心はどのように下げるかと言いますと、エッジングという動作を使います。エッジングとは軸足の靴の裏の、内側の角(エッジ)を使う動作のことです。かんたんに言えば、靴をパタッと倒して内踝を地面に着けていくような動作のことです。
このエッジングという動作は軸脚側の股関節で行います(足首は使いません)。背骨は垂直を維持したまま股関節を外転させることにより、並進運動をしながら靴をパタッと倒していきます。振り上げた非軸足のランディング(着地)と同じタイミングで深くエッジをかけられるのがベストです。この動作によって適切な高さまで最大限重心を下げていくことができます。
そして非軸足がランディングした後はその足でしっかりと踏ん張り、体重もすべて非軸脚側の股関節へと移し切り、エッジをかけた軸足をターンバックモーションへと進めていきます。このターンバックモーションを良い形で行えると、エッジングで低くした重心を、低いまま使っていけるようになります。逆にターンバックモーションが良い形にならないと、せっかく良い形でエッジをかけられたとしても、重心を上げながら投げることになりますので、ボールは上ずるようになります。
重心を下げる作業も、踏ん張る作業も股関節で行います。スポーツは走る動作も、跳ぶ動作も、相撲もサッカーも野球も股関節の使い方が何よりも重要なのです。だからこそ広い股関節の可動域を維持する必要がありますし、股関節が硬い選手は手投げをするしかないため、制球力も球速も思うように向上することがないのです。
毎日のストレッチングでコンディショニングしていくことも大切ですし、頑張って良い動作を続けることによって関節と筋肉を良い動作にフィットさせ、可動域を向上させていくことも大切です。一番やってはいけないのは、自分の体の硬さに投球動作を合わせてしまうことです。これをやってしまうと、何もかもが遠回りになってしまいますので注意が必要です。