未成年のプロテイン摂取は控えた方が無難
アスリートがトレーニングをした後は、プロテインを飲むことがセオリーのように語られています。特にトレーニング後30分以内のプロテイン摂取は「ゴールデンタイム」と呼ばれ、プロテインの効果が最大限に得られる時間帯です。プロ野球選手のブログを読んでいても、トレーニング後にはプロテインを飲むということがよく書かれています。でも注意が必要です。僕は10代の選手をコーチングする際、「プロテインは極力飲むな」と伝えるようにしています。
プロテインの摂取は、20代になってからで十分です。プロテインというのは高タンパクであるため、内臓に負担がかかることがあります。特にまだ胃腸が発達し切っていない10代の選手にとっては、プロテインを摂取するメリットよりも、プロテインを摂取するデメリットの方が心配です。
10代の選手であっても、もちろんトレーニング後にプロテインを飲めばその分筋力は付きます。しかしその結果内臓の調子がおかしくなってしまえば、せっかく手に入れたパワーを試合で発揮することはできません。子育てをする際、胃腸の発達し切っていない子どもに生ものや塩分の高い食品、体への刺激が強いコーヒーを食べさせたり飲ませたりはしませんよね?それと同じです。
プロテインの摂取は、20代になってからでも十分です。もしくは摂取しなくても良いくらいです。現にプロ野球選手の工藤公康投手は一切プロテインを摂取しませんが、50歳間近になっても現役を続けられました。
プロテインよりもバランス良い普段の食事の方がずっとずっと重要
大切なことは、バランスの良い食事をしっかりと摂ることです。西武、ロッテ、楽天で活躍する涌井秀章投手は、高校に入るまでは野菜が食べられませんでした。しかし横浜高校に入学し、野球部で食事の大切さを学ぶことで、卒業する頃には普通に野菜が食べられるようになったそうです。
「嫌いな食べ物もがんばって食べる!」と考えてしまうと、なかなか好き嫌いは克服できません。しかし「これを食べれば、体にこういう風に良いんだ」ということを理解できれば、その食品に対し好意を持てるようになり、「嫌い」という感覚はどんどん薄れていきます。
ですので10代の野球選手を持つ親御さんは、プロ野球選手が「良い」と言って摂取するプロテインをむやみにお子さんに与えるのではなく、まずはしっかりとバランスの取れた食事を食べさせてあげるようにしてください。高校生の男子選手なら厳しい練習の後はどんぶり飯2〜3杯食べられるくらいが良いと思います。ごはん(お米)は何よりも大きなエネルギーの素です。バランスの良いおかずと一緒にごはんをたくさん食べる選手は、プロテインに頼らなくても十分強い体を作り上げることができます。
プロテインは20代になり、内臓もしっかりと出来上がったことで、中高生の頃よりも食事量が減ってきた時に摂取するようにしましょう。
プロテインと、欧米人とは違う日本人特有の腸の形状
最後にプロテインについての補足ですが、プロテインとはいわゆる温めた牛乳の膜の部分です。これは動物性たんぱく質です。動物性の食べ物は、実は日本人の体には必ずしも合うとは限らないんです。先祖代々肉を食べて生きてきて、腸が太く短く発達した欧米人にとってはプロテインはベストなアイテムです。
しかし古来から米・野菜・魚を食べて生きてきた日本人の腸は細く長く発達してきました。このような日本人の腸にとって、動物性であるプロテインの摂取は年代を問わず、少なからず胃腸に負担を与えてしまうというわけなのです。内臓不調は体の回復力を低下させ、怪我をしやすくなってしまうため注意が必要です。