喫煙はアスリートにとっても大きなリスクを生む
アスリートにとっての喫煙が、パフォーマンスの低下を招くことは現代ではすでに常識とされています。とは言え僕はすべての人に禁煙を勧めるつもりはありません。こんな書き出しをすればまるで喫煙を勧めているようにも取られてしまうかもしれませんが、しかしそうではありません。ここで話したいのは、あくまでも喫煙が、アスリートにどのようなリスクを与えるかということです。
喫煙をした際の身体へのリスクで、主に考えられるのは血管収縮作用と、ビタミンC欠乏症。
喫煙でスタミナが低下するのはこれが理由!
血管が収縮すると血圧が上がります。そして血圧が上がるということは、それだけ心肺機能に負担をかける結果となり、パフォーマンスに対するスタミナはどんどん低下していってしまいます。そしてタバコを吸うことにより、体内には一酸化炭素が充満します。
一酸化炭素は、酸素の200倍以上の結合能力を持つとされています。つまり喫煙を習慣化させてしまうと、体内では酸素は常に1対200という劣勢で一酸化炭素と競合しなければならなくなります。こうなってしまうと体内は常時酸素不足状態となってしまい、いくらロードワークをしてもスタミナは落ちる一方です。
喫煙によって体内のビタミンCがどんどん失われていく
続いてビタミンC欠乏症についてですが、体内でビタミンCが不足すると、まず免疫力が低下し、風邪をひきやすくなります。専門機関の論文によれば、ビタミンCの欠乏はガンの発生率を高めるともされています。つまり喫煙による発ガンリスクは、煙を吸うことにより肺炎になるという考え方よりも、喫煙により体内ビタミンCが欠乏することによって発ガン率が高められると考えた方が良さそうです。さらに付け加えると、癌は炭水化物を栄養にし、ビタミンC破壊し、免疫力を失わせる病気です。
ちなみにビタミンCは、筋肉の成長にも大きな役割を果たしています。つまり体内でビタミンCが不足してしまうと筋力もどんどん低下してしまうことになります。
他競技よりもはるかに喫煙率が高い野球界
プロ野球界は、実はプロスポーツの中では喫煙率がかなり高いとされています。球団によってはベンチ裏に灰皿を設置しているところもあったくらいです。もちろん近年はそういう状態は少しずつ改善されてはいるようですが、しかし未だ主力選手に喫煙者が多いのは事実です。
アスリートにとっての喫煙は、まさに百害あって一利なしです。今後は選手の研修の一環として喫煙のリスクを指導したり、契約書に禁煙を条件にすることなども考えなくてはならないかもしれませんね。また、プロ野球選手じゃなくても、少年野球の指導現場でタバコを吹かすこともどうかと思います。
そしてもう一点付け加えておくと、アメリカの選手が助っ人として来日した際、一番驚くのがトレーニング施設に灰皿があることと、プロ野球選手の中に喫煙者がいるということだそうです。これは以前、パ・リーグのとある助っ人選手が教えてくれたことでした。