世の中には胡散臭いイップス治療もあるので御用心!
僕がレッスンをするオンライン野球塾では、イップスの改善も行っています。2010年以降たくさんの選手のイップスを改善させてきましたが、レッスンによってイップスがまったく改善しなかった方はこれまで1人もいらっしゃいませんでした。
ではなぜ僕のレッスンではイップスを着実に改善させていくことができるのか?その理由は決して難しいものではありません。イップスをメンタルの問題ではなく、技術的問題だと捉えているためです。
さて、話を進めていく前に、僕の生徒さんが実際に受けた驚きのイップス治療をご紹介しておきたいと思います。その選手の親御さんはこの治療に合計10万円近く費やしたそうです。イップスに苦しむ高校生選手だったのですが、受けた治療はメンタルでもテクニカルでもなく、催眠療法だったそうです。
目を閉じて、治療者の催眠をかけるような言葉を何度も通院して聞き続けて、そして最後に指をパチンと鳴らされて「これでも君はもうイップスなんかじゃない!」と言われて治療が終了したそうです。
僕らのようにイップスではない冷静な人間からすると、明らかに胡散臭くてこの治療法に効果なんて望めないことはすぐに分かるわけですが、でも何年もイップスに苦しんでいる方からすると、もう本当に藁にもすがる思いだったのだと思います。しかし残念ながらこの催眠療法の効果はなく、イップスが目に見えて改善することはなかったそうです。しかしこの高校生は僕のレッスンによってイップスを改善させることができました。
技術的問題がないイップスはない!
僕のイップス改善法としては、まず最初に重点的にチェックしていくのが踏み出していく足のステップの形と、ボールを握っている手の親指の使い方です。イップスになっている選手というのはほぼ必ずこのどちらか、もしくは両方に問題があります。
改善の難易度としては、ステップしていく足の形を直すことの方が簡単です。頑張れば1〜2週間程度でしっかりと修正できて、意識しないでも良い形ができるようになる選手が多いです。
一方スローイングアームの親指の動作改善に関しては、これはなかなか難しいんです。ステップする足の動作改善以上に丁寧に段階を踏んで少しずつ改善させていく必要があります。
僕のオンライン野球塾はZOOMを使ってレッスンをしているのですが、画面越しにボールを投げてもらい、その動作を丁寧に細かくチェックしていき、動作改善を進めていきます。
イップスは確かにメンタルの不調と言うこともできるのですが、しかし技術的問題が存在していないイップスというのは、僕の経験上はありません。少なくとも2010年以降僕にイップス改善の相談をしてきてくれた生徒さんたち100人ちょっとの中では、技術的問題がなかった選手は一人もいませんでした。
それにしても2010〜2021年でイップスの改善希望の方だけで100人以上というのは、なかなか多いですよね。それだけイップスに悩んでいる選手が多いということなのだと思います。
メンタルクリニックの治療だけでは絶対に治せない送球イップス
イップスは近年までは原因不明だと言われてきました。しかしこれはイップスを研究する専門家の人数が少なかったためで、実際には原因不明ということは絶対にありません。原因は必ず存在します。
イップスに苦しんでいて、戦力外通告を受けるまでそのイップスを改善させることができなかったプロ野球選手の映像を見させてもらったこともあるのですが、そこには明確な原因が映り込んでいました。この選手の場合もやはり親指の使い方に問題があったのです。もし現役時代に僕に相談をしてくれていれば、きっと改善させることができたでしょう。ご本人も「現役時代にカズコーチに会いたかったです」と仰ってくれました。
野球選手のイップスを治療しているクリニックは全国にたくさんあると思います。しかし野球のプロフェッショナルコーチとしてハッキリ言わせてもらいます。イップスというのは、技術的問題がある→悪送球が続く→技術的問題が悪化する→悪送球がさらに増える→メンタルがやられる→イップスの泥沼にハマる、という順番で進行していきます。
つまり、いくらメンタルを整えたとしても技術的問題を解決しなければ、イップスが治ることは絶対にないということです。要するにメンタル治療だけでイップスを治すことはできないということです。
さて、イップスを治療されているメンタルクリニックの先生方で、バイオメカニクス(科学的野球動作法)に精通されている方はいらっしゃるでしょうか?もしいらっしゃれば安心して相談してもらって良いと思います。しかしバイオメカニクスに精通していない方に、野球動作の問題点をピンポイントで見つけ出し、その改善方法を明確に指南することは絶対にできません。
イップスを引き起こした技術的問題をクリアした上でメンタルの不調を整えるために、メンタルクリニックに通うことはとても良いことだと思います。しかしメンタルクリニックの治療だけで送球イップスを治すことはできませんので、今現在イップスに苦しんでいる方は治療法の選択にはご注意ください。
僕が初めてイップスを治したのは大学生投手
僕が初めてイップスに苦しむ選手のコーチングを行ったのは、僕がプロコーチに転身した2010年のことで、大学生投手でした。高校時代からイップスに悩み始め、大学に入ると悪化してしまい、キャッチボールをしても相手の手が届くところにまったく投げられないという最悪の状態になっていました。
その投手のレッスンを始めて3ヵ月くらいでイップスの改善が目に見え始め、6ヵ月経過するとキャッチボールで悪送球することはほとんどなくなりました。ちなみに僕とこの大学生投手の動作改善に関しては、高校の野球部などに置かれている野球のフリーペーパーTimely!でも連載していただきました。
トータル1年ほどコーチングを担当させてもらったのですが、最終的には大学の野球部の1軍で背番号をもらえるレベルの投手になることができました!最初はキャッチボールさえできなかったのに!
僕はメンタル強化トレーニングも行えるコーチなのですが、この大学生投手に対してはメンタルに関する指導はほとんどしませんでした。イップスであれだけ精神的に参っていたのに、メンタル治療を施すことなく、1年後にはとても良い精神状態で伸び伸びとマウンドで躍動できるピッチャーになることができました。
イップスの改善はメンタルよりも、まずは技術面を改善させよう!
大事なので最後にもう一度お伝えしますが、技術的問題がないイップスは絶対にありません。この技術的問題を改善させることができれば、イップスの症状を着実に改善させることができます。
ですのでもし今現在イップスに悩んでいるという方は、まずはメンタルよりも技術面の問題点を僕のような専門家に洗い出してもらい、その改善方法を教わった上でイップスの改善を目指してください。メンタル治療ありきではなく、まずは技術的問題点を改善させることがイップスを改善させるためには何よりも重要です。