2009年1月以降、1350人以上のマンツーマンコーチングを僕はしてきた訳ですが、ここまで経験してくると、上達できる選手とできない選手を初見で比較的かんたんに見極められるようになります。そして「この選手は上達しにくいかもしれない」と判断した場合は、より注意深くケアをしたりします。では上達できる選手とできない選手の差とは?
上達できる選手の特徴
まず上達できる選手は、コーチング開始時間の20〜30分前に来てウォーミングアップをして、体がしっかりと動く状態を作ってからコーチング開始時間を迎えています。これは季節は関係ありません。寒くないからウォームアップはしなくても大丈夫、という理屈はありません。寒かろうが暑かろうがしっかりとウォームアップをして、筋温を上げて、関節がよく動く状態にしておく必要があります。学校の体育の授業でも、ウォームアップをせずに授業に入っていくということはまずあり得ないと思います。それと同じなんです。ですが上達できない選手の大半は時間ギリギリ、もしくは少し遅れて来て、いきなり投げ始めたり打ち始めたりしてしまいます。しかしウォームアップをせずに、体がフレキシブルになっていない状態では、良い動作を取ることはできません。
そして上達できる選手は、難しい技術を習得するための方法を考えることに時間を割きます。例えばできない状態で同じ動作をただ繰り返すのではなく、「今の動作はどうでしたか?」と頻繁に僕に聞くことによって、自分で思い描いている動作と、実際の動作を擦り合わせていきます。もちろん聞かれなくても僕から選手には伝えるのですが、それでも上達できる選手というのは、僕が伝える以上に能動的に聞いてきます。
上達できない選手の特徴
一方上達できない選手の特徴としては、できない言い訳を探すのが上手、という点があります。仕事や学校が忙しい、練習する場所がない、練習する時間がない、できているのか自分ではわからない、などなど。そして何よりも、コーチが伝えたことを正しく記憶していないケースが非常に多いんです。正しい動作が頭に入っていなければ、仮に毎日何時間も練習したとしてもその動作をできるようにはなりません。重要なのは練習した回数ではなく、質なのです。練習の質が良ければ、難しい動作であっても必ずできるようになります。
そしてすぐにできるようにならない動作をやりたがらない、という傾向もあります。コーチとしては、正しい動作ができていないからやるように伝えるわけですが、少しでも難しく感じるとその動作に対してすぐに前向きではなくなってしまう選手というのは、上達速度が上がらない傾向にあります。そして1つ1つの動作に於いて、あまり考えずに動いている選手も多いようです。何も考えずに練習しても上手くなることはありません。
上達できない練習を続けても意味がない
できない動作をできないままにしていては、いつまで経っても上達することはありません。ですのでできない動作は、どうすればできるようになるのかを考えていく必要があります。例えば体が硬くてできないのなら、ストレッチングの時間を今までの2倍に増やしてみたり、動き方を具体的にイメージできない場合は、そのイメージが明確になるようにコーチに質問をしてみたりビデオを撮ってみたり、何回繰り返してもできるようにならなければ練習方法を再考してみたり。
とにかく、いくら練習をしてもできるようにならなければ、その練習方法を正しいと言うことはできません。上達できる選手というのは、上達できない練習をいつまでも続けることをしませんし、ある動作がいつまで経ってもできないようなら、コーチになぜできないのかをチェックしてもらったり、自ら取り組み方を変えてみたりと、変化をつけることができます。
一方上達できない選手は、小学生であっても大人であっても、できるようにならない練習をいつまでも飽きるまで続けてしまう傾向があります。しかしこのやり方はまさに不正解ですので、3日間一生懸命練習してもまったくできるようにならなければ、練習内容に変化をつけるように工夫してみてください。基本中の基本動作を除けば、変化をつけられる練習メニューがほとんどだと思います。ですのでまずは正しい動作を記憶(もしくはメモ)しているかどうかを確認し、その上で上達できない練習メニューに変化をつけるように工夫をしてみてください。そうすれば少なくとも、仮にまだできるようにならなかったとしても、違う結果が出てくるはずです。その様々な結果を増やすことができると、改善方法も見つけやすくなります。ですのでぜひこのやり方を試してみてください。