高校生の国際大会での試合を見ていていつも感じるのは、日本の高校生があまりにも木製バットの使い方を知らないという点です。他国の選手たちを見ると普段から木製バットで練習しているのかな、と思えるようなバッティングをしているように見えるのですが、日本の高校生に関してはそう思えることがほとんどありません。
日本のアマチュア野球は、国際試合で通用する打者を育てる環境が乏しいように感じられます。もちろんその原因は打球がよく飛ぶ金属バットを普段から使っていることを挙げられるわけですが、金属バットに慣れてしまうと国際試合やプロ野球選手になった時、木製バットへの対応に苦しめられることになってしまいます。
ではなぜ日本の高校野球では金属バットが使われているのでしょうか?この理由は単に予算の問題です。硬式野球用の木製バットはだいたい1万円前後するのですが、下手な選手が使うすぐに折れてしまいます。1万円もするのにすぐに折られてしまっては、部費では当然賄えなくなってしまいます。そのために日本の高校野球はなかなか木製バットにシフトすることができないわけです。
しかし、確かに試合用の木製バットは1万円前後しますが、バンブーやラミバットであれば4,000円前後で購入することができます。しかも近年ではカーボナイズドバンブーという、炭化させたバンブーバットやラミバットがあり、通常の木製バットと比較すると強度が非常に強いんです。つまり簡単には折れないんです。練習ではそういうバットを使っていけば予算の問題をクリアできると思うのですが、高野連からそのような意見が出てきたのを、わたしはまだ聞いたことがありません。
わたしは常々ビヨンドはバッターを育てないと言っていますが、さらに言えば金属バットも同様です。仮に大学野球やプロ野球に進みたいと思っているのであれば、金属バットの使用は試合だけに限定すべきだと思います。練習ではバンブーやラミバットを使うべきでしょう。バンブーやラミというのは、本当にしっかりとミートしなければすごく手が痛いんです。ですのでミート力をアップさせるためにはこれ以上最適なバットはないわけです。
バンブーやラミバットでしっかりと打てるようになれば、金属バットでミートすることが非常に簡単に感じられるようになるはずです。そしてこれはもちろん高校野球に限った話ではありません。中学生であってもプロ野球選手を目指したいのであれば練習では金属バットの使用は控えるべきでしょう。
わたしが一番良いと思うのは、普段の練習はカーボナイズドバンブーやラミを使い、国内の試合では金属バット、国際試合では木製バットという使い分けです。この使い分けで練習をしていけば、金属バットの扱いが楽になるのはもちろんのこと、国際試合で木製バットの扱いに苦労することもなくなるはずです。