突然ですが、わたしは甲子園大会というものがあまり好きではありません。もちろん甲子園を目指している球児を見ていると胸が熱くなりますし、試合を観ていてもどちらのチームも応援してしまいます。しかし甲子園大会というものに関しては好きではないのです。
まず一番の理由は女子選手がグラウンドに立つことが許されていないためです。例え男子よりも野球が上手な女子高校生がいたとしても、女子というだけで甲子園のグラウンドに立つことができないのです。これを性差別と言わずになんと言えば良いのでしょうか。ちなみにアメリカでは今年、女子プロ野球選手が男子プロ野球の試合に登板し勝ち投手になっています。もしアメリカで日本のように女子禁制などという馬鹿げたルールが存在していれば、間違いなく大きな問題になっているでしょう。
そして甲子園は、わたしは先日知り合いに教えてもらうまで知らなかったのですがサングラスの着用も禁止なのだそうです。これには驚きました!サングラスの着用を禁止する意味をまったく想像できません。「プロの真似事をして格好つけるな」とでも言いたいのでしょうか?
紫外線というのは、大半は角膜や水晶体で吸収されるのですが、2%程度は裸眼ではどうしても網膜まで到達してしまうのです。そしてこの紫外線が網膜を刺激し続けてしまうと白内障や角膜炎、翼状片を引き起こしてしまいます。夏の日差しはもちろん厳しいものになります。つまり真夏に裸眼で紫外線を浴び続けると、それだけ目の不調を引き起こしやすくなるのです。特に未成年の眼球は大人よりも弱いので、強い紫外線を浴び続ければ成長につれ目の不調も訴えやすくなり、視力の低下も早めてしまいます。
わたしのコーチングを受けていらっしゃる方であればご存知だと思いますが、わたしは日中の屋外ではほとんどずっとサングラスを着用しています。ちなみに愛用しているのはRay Banのアビエーター偏光レンズのサングラスです。紫外線を99.9%カットしてくれるので目も安心ですし、逆光でキャッチボールをしていても眩しくてボールが見えなくなる、ということもありません。わたしは普段から目の筋肉のトレーニングも毎日行なっているのですが、そのトレーニングとサングラスの効果もあり、今39歳ですが視力は未だにメガネ屋さんで測れるマックスです!
野球というスポーツは、高速で動く直径7センチ程度の小さなボールを追い駆けなければならないスポーツです。つまり他競技よりも遥かに視力の重要性は高いはずなのです。それなのに甲子園ではサングラスの着用が認められていません。これはなぜなのでしょうか?
夏の甲子園大会というのは、野球の本場アメリカでもごくごくたまに報道されます。しかしその内容は感動のドラマを伝えるものではなく、「炎天下で一人のピッチャーに100球も150球も投げさせて、これは虐待なのではないか?教育とは程遠い」といったニュアンスのものが多いんです。
予選を含めた甲子園大会は、選手を使い切る場になっては絶対にダメなのです。高校野球は選手を完成させる場でもなければ、監督が日本一を目指すと口にして良い場でもないはずです。「目指せ甲子園!」「目指せ日本一!」と口にして良いのは選手だけです。監督はあくまでも教育者という立場を貫くべきです。
そう考えると坊主頭厳守というのも可笑しな話です。教育者が選手たちをしっかり教育することができれば、坊主頭厳守にしなくても選手たちは清潔感のある髪型を維持するはずです。今時自衛隊ですら坊主頭厳守ではありません。もちろんサバイバル活動が必要なため坊主頭が利便的には良く、坊主頭の自衛隊員は多いわけですが、しかし隊や階級によっては坊主ではない自衛隊員も多くいます。
そもそも坊主頭が嫌で野球部に入らないという高校生が多いことを、高野連はどう捉えているのでしょうか?野球人口の減少に歯止めが利かないと皆さん口々に仰っていますが、高校野球がこのような時代錯誤なことをし続けていれば、それも当然だとしかわたしには思えないわけです。
甲子園大会の現状は、間違いなく若い選手の将来を多く奪ってしまっています。甲子園で活躍した投手たちで、プロ入り後もほとんど肩肘を痛めることなく投げ続けられている投手は果たして何人いるでしょうか?
選手として完成させるべきタイミングは、プロ入り数年後です。しかし日本の場合はそれぞれの年代で選手を完成させようとしてしまい、体に無理が生じ、その結果プロ入り後に伸びない選手が多くいるんです。学生野球の指導者は、決して選手を完成させようとしてはいけないし、それ以前に選手の体を守る義務があります。
ですが上述した通り、甲子園大会は選手を守るどころか、選手を酷使してばかりです。例えば夏の甲子園を8月ではなく、9月に行うだけでも現状は大きく変わるはずです。しかし日本の野球界はプロアマ問わず限りなく保守的です。常にトライ&エラーを繰り返し進化し続けようとするアメリカ球界とは似ても似つきません。
実はこのような理由もあり、わたしは2018年4月からはコーチングの拠点をアメリカに移す決意をしたわけなのです。来年以降は現在契約中のメジャーリーガーを中心にし、アメリカと中米のプロアマのパーソナルコーチングを行なっていきます。日本のトッププレイヤーがメジャーリーグを目指す心境とほとんど同じだと思っています。向上心のある野球界で、向上心の塊のようなハングリー精神旺盛な選手たちと一緒に仕事をしたいのです。