コーチが選手を前にして、まずやらなければならないのは選手の状態を正確に把握することです。例えば制球力が悪いのであれば、なぜ制球力が上がらないのか、という原因を正確に見つけられる能力がコーチには必要です。制球力が低下する原因動作はたくさんあります。とても教則本に書いてあることだけで賄うことなどできません。
選手それぞれ、必要なものと必要じゃないものは異なります。つまりたくさんの選手がいて、すべての選手に同じことしか伝えられないのはコーチングではありません。このようなやり方をしてしまうと、こっちの選手は上達したけど、あっちの選手は上達しなかった、というケースも出てきてしまいます。しかしコーチの役割は、選手全員を上達させることです。
日本の指導現場では未だにトップポジションを手のひらを外側に向けて(肩関節を内旋させて)作らせる指導をして、最終的には「肘が下がってるから上げろ」と言い出します。しかし肩関節を内旋させた状態でトップポジションを作ってしまうと、人間の体の構造上、肘は肩の高さまで上がりにくくなるんです。ボランティアコーチの場合、このような矛盾した指導を良かれと思い行ってしまっているケースが数え切れないほどあります。
だからこそ体の構造(解剖学)をしっかりと勉強した上で、投球動作のバイオメカニクスを理解しているプロのコーチの存在が必要なのです。昔であれば、子どもたちは原っぱで野球をしながら友だちと一緒に上手くなることができました。しかし今は野球チームでしか野球ができない状況がほとんです。つまり昔の子と今の子とでは、下地がまったく異なるのです。
野球の練習ができる絶対的な時間数、環境が減っているからこそ、短時間で効率的に上達できるよう、野球塾を活用してもらいたいと思っています。近年は日本全国に野球塾が増えてきました。ぜひお近くで、質の高いコーチングを受けられる野球塾・野球教室を探してみてください。そしてできればやはり、マンツーマンで指導を受けられるところがベストだと思います。