サイドハンドスローと言うと技巧派というイメージもあります。確かに横の変化球を曲げやすい分、日本のサイドハンドピッチャーには技巧派が多いイメージがあります。しかし投球メカニズムを学んでいくと、サイドハンドスローこそが最も球速を出しやすい投げ方であるとわかります。
その理由は、投球動作内に存在する2つの軸の関係性が影響してくるためです。投球動作内には体軸と運動軸という2つの軸が存在しています。体軸とは脊柱軸、かんたんに言えば背骨と理解していただいても大丈夫です。そしてもう一つの運動軸とは、ボールを投げる動作に於ける軸のことです。この軸は体内にとどまっている場合もありますし、体の外にはみ出して軸を作ることもあります。
サイドハンドスローという投げ方は、この2つの軸の角度を揃えることができるのです。そのために非軸脚側の股関節を作用点とし、鋭いボディスピンを生み出すことができるのです。その典型的なピッチャーとして、ランディ・ジョンソン投手がいます。ちなみにジョンソン投手は若い頃、トム・ハウスというコーチの個人指導を受けて投球動作改善に成功しています。
サイドハンドスローの次に球速を出しやすいのはスリークォーターです。一般的にはスリークォーターで最も速いボールを投げやすいともされていますが、それはあくまでも一般論であり、科学的根拠を元に語られているわけではありません。しかしサイドハンドスローに近いスリークォーターの場合は、サイドハンドスローに近い球速を出していくこともできます。例えば松坂大輔投手はスリークォーターで投げています。
オーバーハンドスローに関しては、それなりに速いボールを投げることは十分に可能です。しかしオーバーハンドスローの場合は球速表示よりも、球質がアップしやすくなります。つまりボールのバックスピンの角度が小さくなることでマグナス力が強く働き、例え球速はそれほど出ていなかったとしても伸びのある空振りを取れるストレートを投げられるようになります。例えば岸孝之投手はその典型的な投手だと思います。
プロ野球でも毎年一人くらいは、オーバーやスリークォーターからサイドハンドスローに転向し、球速が速くなったと不思議な顔をしている選手がいますが、これはまったく不思議なことではないのです。オーバーやスリークォーターの場合は投球動作内の2つの軸の角度が必ずずれます。このずれによりボディスピンがやや弱まり、2つの軸の角度が揃うサイドハンドスローほどは球速が出せなくなるんです。
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