ピッチャーの投げ方には主に4種類あります。オーバーハンドスロー、スリークォーター(3/4の腕の高さ)、サイドハンドスロー、アンダーハンドスローです。それぞれボールの出所はまったく異なります。ですが共通させるべき点があることを見逃してはいけません。それは肘の位置です。ボールを投げるために腕を振る際(リリース時)、グラブ側の肩・投げる側の肩・投げる側の肘、この3点が一直線である必要があります。これが一直線でないピッチャーは、肩痛や肘痛を起こすリスクが非常に高まってしまいます。
オーバースローやアンダースローを、振る腕の高さの違いだと勘違いされている方が多いのですが、そうではありません。投げ方の違いは、投げる時の体幹の角度の違いなのです。ボールをリリースする際、体幹がグラブ手側にグッと力強く傾くのがオーバースローで、少しだけ傾くのがスリークォーター。体幹がほぼ垂直なままリリースされるのがサイドスローで、体幹が投げ手側に傾くのがアンダースローです。この概念は決して疎かにしてはならない点です。
例えば体幹が垂直な状態、つまりサイドスローの状態で、腕だけをオーバースローのように高く上げて投げてしまうと、両肩と投げる側の肘が一直線の関係ではなくなってしまいます。一直線でなくなるということは、それは肩痛を引き起こす大きな原因となります。
反対に体幹だけグラブ手側に傾かせるオーバースローの状態で、腕だけをサイドスローにしてしまうと、肘の位置が大きく下がってしまいます。これも当然肩痛や肘痛の原因となります。
人間の身体のメカニズムは、腕を両肩の高さよりも上に上げるようには設計されていません。つまり、上腕骨の角度が両肩を結んだラインよりも高くなってしまうと、それだけで肩には大きな負担がかかってしまいます。年齢を重ねて筋力が衰えると四十肩、五十肩になって腕が肩よりも上に上がらなくなってしまうのはそのためです。
両肩を結んだラインと投げる側の肘が一直線になるというのは、いわゆる0ポジションと呼ばれる状態です。0ポジションに関しては別記事にてまた詳しく述べますが、0ポジションというのは肩周りの筋肉を均等に満遍なく使ってボールを投げられる状態のことです。つまり肩周りの一部の筋肉を酷使することがないため、それだけ肩痛になるリスクは減り、野球肩にもならず、肩は消耗品だという考えも捨てられるようになります
とにかく大切なことはどんな投げ方であっても、両肩を結んだラインと投げる側の肘は一直線の状態でボールをリリースするということです。これができていれば、そう簡単には肩を痛めることはないはずです。逆に肩が痛いという場合は、一直線になっていないことがほとんどだと思ってください。