野球技術が向上しないウェイトトレーニングに意味はない!
近年はウェイトレーニングが全盛期だと言えます。プロチームの設備はもちろんのこと、高校野球でも立派なトレーニング施設を持っている学校もあるほどです。確かにウェイトトレーニングにより、高校野球のレベルも急激に上がりました。今では150km/hを投げる高校生などさほど珍しくはありません。しかし違う見方をすれば、ウェイトトレーニングの普及により、故障する選手が増えたとも言えます。
僕はもちろんウェイトトレーニングを否定するつもりはありません。正しい知識、正しいやり方で行えば、ウェイトトレーニングで怪我を防げるばかりではなく、選手寿命を延ばすことも可能です。しかしアマチュアチームの場合、野球というスポーツにおけるウェイトトレーニングの知識を持つ指導者はほとんどいません。
これはプロ野球チームにも同じことが言えるのですが、野球選手に必要なのはマッチョになるためのウェイトトレーニングの知識ではなく、野球パフォーマンスの向上に必要なウェイトトレーニングの知識なのです。つまり野球選手のトレーニングは、100%プレーを意識したものでなければ意味がないということです。
鍛えた筋肉はすぐに野球動作に馴染ませよう!
例えば一生懸命ウェイトトレーニングをして、終わった30分以内のゴールデンタイムにしっかりとプロテインを補給すれば、筋肉は見る見る大きくなっていきます。しかしそれで満足しているようでは野球選手としては一流にはなれません。いくら筋肉を大きくしても、それが野球のパフォーマンスに繋がらなければ、その努力は報われないのです。
ではどうすれば良いのか?まず野球選手がウェイトトレーニング直後に行わなければならないのはピッチャーならばシャドーピッチング、バッターならば素振りです(実投球や実打なら最高)。プロテインを飲む前に、ウェイトトレーニング後にはまずシャドーピッチングや素振りをしましょう。そして鍛えた筋肉が冷めてしまう前に、筋肉を野球動作に馴染ませてください。ポイントは、鍛えた筋肉が冷める前に行うという点です。
野球動作に馴染んでいない筋肉で野球をすると怪我のリスクが高まる?!
シャドーなどをせず、ただ筋肉を鍛えるだけでは故障に繋がります。その理由は、新たに作られた筋肉が野球の動きに馴染むには、2ヵ月も3ヵ月もかかるためです。ということは、その間は筋肉が野球の動きに馴染んでいない状態で野球をすることになりますから、当然そのようなコンディションで野球の激しい動作を繰り返せば、故障するリスクは高くなります。
だからこそ鍛えた後はプロテインを飲む前に、鍛えた筋肉が冷めてしまう前に、速攻でシャドーを行い、鍛えた筋肉を野球の動きに馴染ませてあげる必要があるわけです。
新しい筋肉が野球動作に馴染むまでには長い時間が必要
ダルビッシュ投手は2010年のオフ、トレーニングにより体重を100kgにまで増やしました。ダルビッシュ投手ほどのレベルですから、もちろんシャドーは欠かさずに行っていたのでしょう。しかし2011年の年始に達した100kgという体重の筋肉がピッチング動作に馴染んで来たのは、5月に入ってからのように見えました。
増やした筋肉量が半端じゃないとは言え、ダルビッシュ投手であっても筋肉を野球に馴染ませるのに半年近くかかっています。ということは10代の若い選手やアマチュア選手にとってはさらに、トレーニング後のシャドーピッチングが大切になってくるというわけですね。
そして筋肉ができるだけ速く野球動作に何時でくれるようにするためにも、筋トレ直後のシャドーピッチングや素振りが効果的というわけなのです。