日本の硬式用金属バットの規格が今後変わる可能性が出てきました。現在はいわゆる良く飛ぶ金属バットの利用も認められているのですが、今後は反発係数を抑えることによってバットの規格を木製バットに近づけていく可能性が話し合われているようです。これは歓迎すべきことだと思います。
日本のバットはアメリカのバットよりも安全性が高い
アメリカではすでに、反発係数を木製バットに近づけた金属バットしか使えないルールになっています。ですがアメリカのやり方をそのまま真似ることはできません。と言うのは、アメリカではバットの安全性に関する規格が日本よりも甘いためです。もちろん、だからと言ってアメリカの金属バットが危険というわけではないのですが、万が一何かあった時の安全性は日本の方がずっと高いと言えます。
例えば日本では、適正用途内で使っていてバットの不備で怪我をした場合、完全に補償してもらうことができます。グリップ付近にそれに関するシールが貼ってあると思いますので、アマチュア選手はぜひチェックしてみてください。ちなみにプロ選手にはこの補償は適用されません。
金属バットはトランポリン効果で飛距離を出している
金属バットはトランポリン効果によって飛距離を出しています。ボールとバットが当たった瞬間にバットが少し凹むのですが、この凹みが元に戻る反発力によって打球を飛ばす仕組みになっています。つまりバットを形成している金属を薄く作るほど凹みが大きくなり、それに比例して反発力も高くなり遠くまで飛ばせるという結果につながっていきます。
現時点では高校生用の金属バットは900g以上と決められています。つまり900gを下回るほど金属を薄くすることができないということになります。今後この900gをもう少し重くして、さらには直径の最大も少し小さくすることによって金属を厚くさせ、飛距離を抑えるという流れになっていくようです。
日本はバッターが育たない下地が敷かれている
近年でも投手が頭や顔に打球を受けて骨折するという事故が起こっています。このような事故は確実に減らしていかなければなりません。当たってしまった投手も悲劇ですし、当ててしまった打者にとっても悲劇です。ちなみに智弁和歌山高校は、国体では試合でも木製バットを使うという試みを行うそうです。これは非常に良いことですね。どの高校もそうするべきだと思います。費用面で木製バットを使いたくないのなら、バンブーやカーボナイズドなど、折れない木製バットを使えばいんです。カーボナイズドバットは折れない上に、価格も通常の木製バットの半額ほどです。
近年は高校生でも筋トレによって飛距離を伸ばそうとする選手ばかりになってしまいました。そのためメジャーリーグで通用するバッターもまったくと言って良いほど育っていません。日本はそれでなくてもビヨンドなどの軟式用複合バットの存在によってバッターが育たない下地が敷かれてしまっています。バッターを育てるためには、やはり丈夫で扱いにくいバンブーやラミバットで練習するのが一番です。ホームランを打つ技術を身につけられれば、バンブーでもラミでもちゃんとホームランを打てるようになるんです。でもその技術がないから、金属バットの性能に頼らざるを得ないというのが現状なのだと思います。