ノーステップ打法に取り組んでいる選手は少なくはないと思います。ノーステップ打法のメリットは、動作が減ることによって目線の位置の移動を最小限に抑える、という効果を期待することができるわけですが、僕個人としてはあまりオススメしたい打法ではありません。その理由は、タイミングが取りにくくなってしまうためです。
ステップはタイミングを計るための作業
非軸足を上げる作業というのは、これはタイミングを計るための動作なんです。つまりノーステップ打法というのはタイミングを取るための動作が減ることにって、タイミングを合わせにくくなってしまうわけです。タイミングとは、非軸足を上げる動作によって、まず投手のタイミングに入っていきます。投手のタイミングに入っていくことができたら、今度はシンクロさせたタイミングを、自分のタイミングに誘導することによって、自分の好きなポイントで打てるようにバットを出していきます。
文章にすると結構長くなるわけですが、実際には長くても2〜3秒の間に起こる動作となります。ここでノーステップで打とうとすると、ただ単純に投手のボールが飛んでくるのを待つ作業のみとなり、投手のタイミングに入っていきにくくなるんです。もちろん中にはノーステップの方がタイミングを合わせられる、という選手もいるかもしれませんが、非常に稀なケースだと思います。実際にノーステップ打法に取り組んだプロ野球選手たちも、最終的にはノーステップをやめるというケースが多いようです。
大谷翔平選手はノーステップ打法ではない
大谷翔平選手が時々ノーステップ打法だと言われることがあるようですが、2019年のフォームを見る限りでは、小さなステップではありますが、ノーステップ打法ではないようです。ノーステップどころか、踵を使って3〜4回ステップオンして、長い時間を使って自分のタイミングを投手のタイミングに合わせ、そのタイミングを自分のタイミングに引き寄せているように見えます。
ノーステップ打法というのは、基本的にはステップはせずに、いきなり体重移動から始める打ち方のことです。ちなみに大谷翔平選手の場合は小さなステップで、踵を使ってステップオンを繰り返すことによってタイミングを計っています。つまりノーステップ打法ではなく、言うなればステップオン打法ということになります。
ノーステップ打法がフィットする野球もある
ノーステップ打法は、ちょっとレベルが低めの初心者野球に向いているかもしれません。つまり投手のボールに力がなく、打撃フォームの基礎を身に付けていなくてもある程度は打ててしまうレベルの場合、投手は緩急などほとんど付けられないと思いますので、ステップをするというタイミングを取る作業を省き、目線が動きにくくなるノーステップ打法にすると、さらにバットをボールにぶつけやすくなるかもしれません。
ですが投手が緩急を付けられるレベルの野球の場合は、やはりステップ(踏み出す)、もしくはステップオン(踏むだけ)の動作を入れることによってタイミングを取りに行った方が、泳いだり差し込まれたりすることも減ると思います。プレーしているリーグのレベルを考えながら、ステップをするかしないかを決めていくのも良いかもしれませんね。