10年20年前までは、プロ野球では3割30本打つことは非常に難しいことだと論理的な理由なくして信じられていました。いわゆる迷信というやつですね。しかし現代では3割30本を目指せるバッターがたくさんいます。では20年前と今とでは、打者のバッティングスキルはどう変わっているのでしょうか?今回のスラッガー養成コラムでは、そのあたりについて少しだけ掘り下げてみたいと思います。
まず20年前のことを思い返すと、首位打者と本塁打王を同時に獲得できるというのは非常に稀なケースでした。それこそ三冠王を獲得したことのある一部の打者のみに許された特権とも言えたのではないでしょうか。では三冠王を獲得できた打者と、本塁打は打てるけど打率は伸びなかった打者とでは、一体何が違っていたのか?!
答えはヒッティングポイントの位置です。三冠王を獲得できた打者はポイントを、自分の体の近くに置いていました。ポイントを自分の体の近くに置くということは、それだけ正確にミートできるということです。逆に三振か本塁打かという打者の場合、ポイントを大きく投手寄りに出す打者がほとんどでした。
ポイントを前に出すと遠心力を大きく使えるため、当たった時は確かに遠くまで打球を飛ばすことができます。しかし自分の体から遠い場所で打たなくてはならない分ミート力は大幅に低下し、緩急をつけられるとカンタンに泳がされてしまいます。
逆に本塁打は打てないけど単打ならたくさん打てるという打者の場合、バットを短く使うことによってポイントを自分の体の近くに持ってくる打者が大半でした。短いバットを使ったり、バットを短く持ったりしてそういう形にしていました。そのためバットにかかる遠心力が小さくなり、ミート力は上がりますが飛距離を伸ばすことはできませんでした。
なおここで勘違いしてはならないことは、バットを短く使うことと、バットをコンパクトに振ることは似て非なることということです。例えばバットを短く持ったとしても大振りしては意味がありません。
一方三冠王を狙えるレベルにあった昔の打者たちは、バットを長く使いながらコンパクトに振る技術を持っていました。バットを長く持っているのでヘッドの重さを活かすことができ、遠心力に頼らなくても鋭いスウィングができるようになります。そしてコンパクトに振っているのでポイントを自分の体の近くに置くことができ(具体的には右打者は左膝付近、左打者は右膝付近)、ミート力が低下することもありませんでした。落合博満選手などは、まさにその典型的なタイプと言えます。
ホームランの打ち方には主に2種類あります。圧倒的なパワーで遠くに飛ばそうとする打ち方と、打球にバックスピンをかけて揚力を高めることによって飛距離を伸ばす打ち方です。弾丸ライナーのホームランが多い打者は前者で、放物線を描けるタイプの打者が落合選手をはじめとし後者となります。日本人選手の体格からすると、やはり後者の方が飛距離と打率の両方を求めやすくなります。
現代で3割30本を目指せるレベルにある打者の多くは、基本的にはポイントを体の近くに置いています。そして緩い球が来たらそのポイントを前に出し、速いボールならポイントを引いて打っています。そのためタイミングを外しての空振りが非常に少なくなります。例えば内川聖一選手、浅村栄斗選手、大谷翔平選手などはそのような打ち方をしています。だからこそ不振が長期間続くことがありません。
ポイントを自分の体の近くに置き、バットを長く使ってコンパクトに振るという技術は、ステイバック打法を採用することによって初めて可能となります。そしてまさに当野球塾のスラッガー養成コースでは、そのステイバック打法を小学生〜プロ選手に対しコーチングしています。打率も飛距離もアップさせたいという選手は、ぜひスラッガー養成コースを受講することで、確かな技術を身につけてください!