少年野球の指導で最も重要なのは踏ん張らせること
少年野球で指導をする際に最も重視しなければならないのは、踏ん張るという動作です。大人のコーチたちは、子どもたちがしっかりと踏ん張って投げたり打ったりできているのかを、しっかり見てあげる必要があります。そして踏ん張れていなければ、どうすれば踏ん張れるようになれるのか、どうやって踏ん張りを強くするのか、ということをわかりやすく、具体的に教えてあげる必要があります。
週末になると河川敷グラウンドには多くの少年野球チームが集まってきます。散歩をしながらそれらのチームを観察してみても、踏ん張れている子が多いなと思えるチームはほとんどありません。
多くの子は下半身がバットに振り回されていますし、ボールを投げながら靴が地面から浮いてしまっています。そして大人たちは「もっと踏ん張って投げなさい」と言っているようなのですが、「踏ん張れ」と言って踏ん張れるようになれれば苦労はありません。
大人たちは「踏ん張れ」と言うだけではなく、どうすれば踏ん張れるようになれるのかを具体的に教えてあげる必要があります。子どもたちは、具体的に教えてあげないと色々なことを覚えていくことができません。適切な動作をしっかりと身につけていくためにも、子どもたちが間違った解釈をしないためにも、大人たちは子どもたちが間違えようのないくらい具体的に、わかりやすく教えてあげる必要があります。
最初からしっかり踏ん張れている子は少年野球では少数派
少年野球世代というのは、適切な基礎を体に覚え込ませるには最適の世代です。小学生のうちにしっかりとした基礎を身につけておけば、成長してからもグングン上達し続けることができます。しかし小学生の頃に間違った動作を身につけてしまうと、体が大きくなって投げるボールが速くなったり、バットスウィングが強くなった時に怪我をしやすくなります。
スポーツで何よりも大切なのは、怪我をしないということです。(心身の)健康のために頑張っているはずのスポーツで怪我をしてしまっては本末転倒です。ましてや野球肩や野球肘など、選手生命を左右するような、本来であれば回避できていたはずの怪我で、後々取り返しのつかないことになることもあります。
野球肩野球肘になる選手のほとんどは股関節を上手く使えていません。そして足をしっかり踏ん張れていなければ、野球動作で股関節を使うことは物理的に不可能となります。だからこそまずはしっかりと子どもたちに踏ん張らせることが重要なのです。
しっかりと踏ん張って土台を安定させなければ、腕を力強く振って投げることもできませんし、土台がフラつけば上半身も不安定になり、制球力が安定することもありません。
スローイングアームの使い方なんて最後で良いんです。まずはしっかりと踏ん張ってプレーできるように教えてあげて、上半身の動きは、下半身に釣られて自然と良い動作になっていくというのがベストです。そしてその流れに沿って子どもたちを導いてあげるためにも、まずは踏ん張らせることが何よりも重要なのです。
ちなみに僕の生徒さんの中でも、比較的上手な部類に入る選手でも、レッスン前からしっかり踏ん張り切れている選手はほとんどいません。ですので僕のオンラインレッスンでも、まずは踏ん張りを強くしていく作業から始めていき、そこから徐々に上半身の動作改善へと進んでいくパターンが多くなっています。
そしてこれは少年野球だけではなく、中学生以上や草野球選手にも同じことが言えますので、少年野球世代は特に重視していただくのはもちろんのこと、中学生以上でも踏ん張りに関しては気をつけるようにしてみてください。