軸足という日本語があります。軸足という言葉は野球のトレーニングにおいて多々登場する言葉ですね。聞いたことがない、という方はいらっしゃらないと思います。でも軸足って、実は軸としては使わないんです。
軸足を英語でいうと、ピヴァットレッグ、もしくはピヴァットフットと言います。ピヴァット(pivot)とは回すという意味です。つまりピヴァットレッグそのものを軸として回すのではなく、軸を回してあげる役割を担っている、ということです。ちなみに軸を英語で言うとアクシス(axis)と言います。
日本語では軸足という言葉が存在しているため、どうしても軸足を軸として使いたがってしまいます。しかし軸足を軸にして投げたり打ったりすることはできません。右ピッチャーの場合、右肩と左股関節を結んだラインが基本的な運動軸となります。そしてもっとレベルの高い動作ができるようになってくると、この運動軸が体の外に飛び出すようになります。すると慣性モーメントが小さくなり、肩肘にかかる負荷を大幅に軽減させることができ、野球肩野球肘にもならなくなります。
慣性モーメントが大きくなると、バックスピンが垂直からどんどん遠ざかってしまいます。つまり慣性モーメントに頼って投げてしまうと、初速は多少アップさせることができても、バックスピンのメリットを得にくくなるため、ストレートの質は低下してしまいます。伸びのないストレートになってしまう、ということですね。
慣性モーメントを小さくするためには、ランディング後の非軸足のスタビリティ(安定感)とリーディングアームによる力強いスクロールが鍵となります。そもそもランディング後の非軸足のスタビリティが低ければ、軸足を使って軸のスピン(アクシススピニング、ボディスピン)を鋭くすることはできません。そしてボディスピンが鋭くなければ、ボールの回転数が増えることもなく、ストレートはすぐに失速してしまいます。
逆にランディング後の非軸足のスタビリティが高くなれば、その他の動作のスタビリティも同時に高めやすくなり、動作改善もどんどん進んでいきます。ですので投球動作を見直す際は、まずランディング後の非軸足のスタビリティを高めるところから始める必要があるわけです。このスタビリティが低い選手の場合、ここを高めてあげるだけでもパフォーマンスは目に見えて向上していくはずです。軸と軸足を最良の形で使えるようにするためにも、まずはランディング後の非軸足のスタビリティをできる限り高められるようにしましょう。