今回の投手育成コラムでは、普段のトレーニングへの取り組み方について少しお話をしてみたいと思います。僕はこれまでプロコーチとして、プロアマ1000人以上のマンツーマンコーチングを行ってきましたが、その中で本当に上達する形で普段の練習ができている選手は、多く見積もっても20%程度でした。
コーチングでは正しい動作の仕方、その動作の必要性、できない状態でのデメリットなどを選手たちには伝えています。しかし伝えた内容をしっかりと頭に入れられる選手というのは、本当に20%くらいしかいません。もちろん教わったその瞬間に完璧に覚えろ、とは言いません。コーチング中は休憩代わりにメモタイムを設けていますので、その時間を使って教わったことをノートに書くことができます。
しかしその書いた内容を、書きっぱなしにしてしまう選手が80%以上なんです。つまり復習をしない、ということですね。できていない動作に関しては、正しい動き方や必要性などが頭に入っていなければ、絶対にできるようにはなりません。それはそうです、正しい動作が頭に入っていないのですから、100球投げても200球投げてもできるようにはなりません。
逆にノートを丁寧に書き、そのノートを読みながら普段の練習をしてくれる選手というのは、指導済みの内容に関して質問をしても、いつでも正しく回答することができます。そして正しい動作が頭に入っていますので、練習を続ければその動作があっという間にできるようになります。これは小学生でも中学生でも高校生でも大学生でも同様です。小学生でもやる選手はやりますし、中高生でもやらない選手はやりません。
どの野球塾に通うにしても、重要なことは野球塾に通うことではありません。野球塾で教わった正しい動作をできるようになるということです。もちろんコーチング中にできるようになる動作もあれば、たくさん自主練をしなければできるようにならない動作もあります。なかなかできない動作が出てきた時、ノートを読みながら、間違いや勘違いがないように正しい動作で練習を続ける必要があります。
コーチングに通うだけでは上達はしません。コーチングで教わったことをできるように頑張らなければ、コーチングに通う意味はなくなってしまいます。理想のコーチングは、10回コーチングをしたら10回すべて違う内容のコーチングを行える、ということです。しかしそれができるのは、だいたい20%くらいの選手のみ、というのが現状です。
コーチングでは野球チームでは教われないような具体的、理論的な動作の仕方を教わることができます。ボランティアコーチでは絶対に指導できないような内容ですので、コーチングに通っている方、もしくはこれから通いたいと思われている方は、ぜひ通うだけではなく、教わったことをできるように頑張っていく、というところに重点を置いていただければと思います。