昨日、コーチング中に信じられない光景を目の当たりにしました。コーチング場所の数メートル横で、試合の合間に小学生チームがおにぎりを頬張りながら休憩をしていました。これはその時の出来事です。
結論から言います。7〜8人のお父さんコーチたちが子どもたちの風上にたむろし、一斉にタバコを吹かし始めたのです。チーム活動中にタバコを吸うこと自体避けるべき行為ですが、しかもそれを子どもたちの風上でというのは、ちょっと信じがたい光景でした。
そしてよく見るとそのコーチたちと休憩中の子どもたちは、別のチームのようでした。別のチームの子どもならどうでも良いのでしょうか?大の大人が7〜8人も集まっているのに、誰も子どもたちの風下に移動してタバコを吸うという発想を持てなかったのでしょうか?わたしはプロで、彼らはアマチュアではありますが、同じコーチという肩書きを持つ身としては情けない限りです。ちなみにわたしが煙に対し睨みを利かせると、彼らもようやく気付いたのかすぐに火を消し始めました。
野球界はプロアマ問わず本当に喫煙者が多いという印象です。実際プロ野球のベンチ裏に行っても普通の光景として灰皿が置いてあるほどです。数年前よりは減ったり、置かなくしたチームもありますが、それでもまだ喫煙者は普通にいます。もちろん野球と関係ない場所で嗜好品として吸うのはその人の自由です。喫煙により体のコンディションを低下させ、プレーの質を下げることもその人の自由です。しかし子どもたちが大勢いるところでタバコを吸うというのは絶対に避けるべき行為です。
受動喫煙という言葉を知らない人はいないと思います。タバコの匂いを感じ取った時点でもう受動喫煙していることになります。受動喫煙とはタバコのフィルターを経ず、火が点いた部分から立ち上っている煙を直接吸ってしまうことです。つまりフィルターを介していないことで、タバコの毒性がフィルタリングされていない煙(副流煙)を吸うということで、喫煙者がフィルター越しに吸う煙よりもはるかに毒性が高くなります。
タバコを吸い続けると肺内部の色はどんどん黒ずんでしまい、肺活動をどんどん低下させてしまいます。そして禁煙をしたとしても、一度黒ずんでしまった肺が元のきれいな状態に戻ることは絶対にありません。スポーツをされない方にとってももちろんマイナス要素ばかりですが、スポーツ選手にとってタバコは練習の努力を無駄にしかねない行為とも言えるのです。しかも大人が子供に副流煙を吸わせてしまっているという日本の少年野球の現実!
スポーツトレーニングには我慢や忍耐が必要です。我慢しながら、忍耐しながら難しいトレーニングに取り組み続けることで、選手は上達を実現させていくことができます。果たして子どもたちの前でタバコを吸うことさえ我慢できない大人に、子どもたちのコーチ役を務める資格はあるのでしょうか?
昨日見た場所は、江戸川河川敷グラウンドの川辺付近の場所です。つまり20〜30m移動すれば、誰の所にも煙が行かない場所があったのです。もちろんそこも喫煙所ではありませんが、少なくとも風下に誰もいない場所でタバコを吸うことができる状態でした。
わたしの友人にも喫煙者は多くいます。しかし喫煙所ではない場所や、子どもたちや非喫煙者の前で吸うことはまずありません。わたし自身、タバコを吸うということを否定したいわけではありません。わたしが否定したいのは、子どもたちにほんの僅かでも煙を吸わせてしまっているお父さんコーチたちの存在です。
ちなみに体がすでに強くなっている大人が吸わされる副流煙と、体がまだ出来上がっていない子どもが吸わされる副流煙とでは、当然後者の方が体への悪影響は大きくなります。そして成長過程で副流煙を吸わされることにより、その成長を阻害してしまう恐れも大きいわけです。だからこそ妊婦さんも絶対に妊娠中にタバコを吸ってはいけないわけです。
携帯灰皿を持っていればどこで吸っても構わない?そんな馬鹿げた考えは今すぐ捨ててください。子どもたちの方に煙が流れてしまう場所でタバコを吸うなんて、言語道断です。そのような方は、今すぐ少年野球チームのコーチを辞めるべきです。タバコを吸いたいのなら、是非とも副流煙が誰にも届かない風下に移動して吸ってもらいたいものです。