下半身主導でボールを投げるためには、とにかく股関節を使える投球・送球動作を身に付ける必要があります。それは下半身で作り出したエネルギーはすべて、股関節を介して上半身に伝えられるためです。つまり股関節が使えていなければ、いくら下半身の筋肉を鍛えたとしても、下半身で作り出したエネルギーはすべて股関節で止まってしまい、結局手投げをするしかなくなってしまうんです。
特に重要なのは非軸脚側の股関節です。この股関節を最大限外旋させたあとで、最大限内旋させていくのが理想的な使い方です。そしてそれを可能にするためにいくつか必要なことがあるのですが、今回の投手育成コラムでは軸脚と、非軸脚側の股関節に関して少しだけ書いてみたいと思います。
まず軸脚に関してですが、しっかりと後ろに高く振り上がっていることが必要です。この軸脚の振り上げが低ければ低いほど、軸脚の重さで投球動作が後ろに引っ張られてしまい、体重移動を最後まで終わらせられなくなります。そして体重移動が最後まで終わらなければ、同時に股関節も最後まで使えなくなってしまいます。ですので軸脚は、スパイクが頭よりも高くなるくらい後ろに高く振り上げられるようになってください。
そしてもう1つ大きなポイントとして、ランディング以降、非軸脚側の股関節を移動させずに動かすということです。ランディングした瞬間の股関節の位置を変えず、その場で内旋と屈曲をさせていきます。ランディング以降股関節の位置が移動してしまうと、股関節を機能させられなくなってしまいます。ですので非軸脚側の股関節はランディング以降は完全に投げ終わるまで、移動させずにその場で内旋・屈曲させていってください。そのためにはもちろんハムストリングスの柔軟性が必要ですね。
これら2つの要素が揃わなければ、非軸脚側の股関節を最大限機能させられなくなってしまいます。もちろんこの2つだけできていれば良いというわけではないのですが、まずはこの2つが揃うことが絶対条件となります。ですので軸脚は後ろに高く振り上げ、非軸脚側の股関節はランディング後は移動させずに動かせるように、丁寧に繰り返し練習してみてください。