受け売りだった野村克也監督の言葉は実は理に適っていた!
野村克也監督の南海ホークス時代、江夏豊という大投手がチームメイトにいました。その江夏投手が肘を痛めた際、野村監督は腕立て伏せをさせて江夏投手に肘痛を克服させたそうです。野村監督は著書にて「メジャーリーガーがそうやって肘痛を治したと言っていた」という理由から江夏投手にも腕立て伏せをさせたそうですが、実はこれ、理に適っているんです。
肘痛を起こす原因筋は、小指と親指の筋に繋がっているということが、これまで研究者の尽力によってわかっています。腕立て伏せは、手の指を広げて行うと細かい筋も鍛えやすく、指を閉じて行うとアウターマッスルをダイレクトに鍛えやすくなります。こういう点から、単純にマッチョになりたい方は指を閉じて行い、野球選手ならば指を広げて行った方が良いということです。
使われる筋をイメージすることでトレーニング効果を高める!
指を広げて腕立て伏せをすることで、小指と親指から繋がっていく筋をバランス良く鍛えることができます。そして小指と親指から繋がって行く筋を頭の中でイメージすることで、さらに意識的に効果を高めることも可能です。
このように、指を広げて腕立て伏せをすることで、小指と親指から肘へと繋がっていく筋群を鍛えることができ、結果肘痛を改善させることができるというわけです。野村監督の著書はトレーニング法には主眼が置かれていないため、そこまで詳しい説明はされていませんでしたが、しかしさすがは野村監督ですね。仰っていることは確かに理に適っています。
ピッチャーは大胸筋は鍛えすぎない方が無難
ちなみに、ピッチャーは腕立て伏せはし過ぎないようにしましょう。50~100回程度をセット分けしてできれば十分です。なぜなら腕立て伏せは大胸筋を大きく発達させてしまいます。この大胸筋を大きくし過ぎてしまうと、これはボールを投げる際に腕の振りの邪魔をしてしまいます。腕の振りが邪魔をされてしまうと、振りは当然鈍くなり、球速も落ちてしまいます。とは言えまったく鍛えないのではなく、鍛えすぎない程度に鍛えるようにはしましょう。
ただし、上体に頼った投げ方をするピッチャーは別です。大胸筋や肩・腕の筋肉が増えるほど球速はアップします。しかし上体に頼った投げ方を続ければ確実に肩・肘を痛めますので注意が必要ですね。それに加え、球速が上がったとしてもボールのバックスピンを増やすことはできないため、初速と終速の差が大きい打たれやすいボールになってしまいます。