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肘頭インピンジメント

肘頭インピンジメントは上腕三頭筋が弱いとなりやすい

少年野球などでよく見られるインピンジメントは肩に多いのですが、しかしインピンジメントは肩だけではなく、肘にも起こるため注意が必要です。

インピンジメントとは衝突するという意味なのですが、肘の場合、トップポジション付近で肘を曲げ過ぎてしまい、肘が頭の高さで、手部が首の高さというフォームや、投球動作のどこかで肘を完全に伸ばし切る動作が入ってしまうと発症しやすい症状です。肘のインピンジメントの場合、「肘頭(ちゅうとう)インピンジメント」がほとんどだと思います。

野球肘とスライダー

スライダーを投げると野球肘になりやすいというのは本当なのか?!

スライダーを投げると肘が下がったり、肘を痛めることが多いから投げない、というプロ野球選手たちがいます。ですが結論から言うと、正しい投げ方でスライダーを投げていれば肘を痛めるリスクを余分に高めることはありません。

スライダーを肩関節の外旋や、肘の回外によって投げてしまうとすぐに野球肘になってしまいます。特に肘の回外が加わっていると危険度は大幅に高まります。

野球肩野球肘を自分で治す

野球肩野球肘を自分で治すのは、完治と言われた後で!

野球肩野球肘は自分で治すことができます。ただし、それをするのはお医者さんにしっかりと治療をしてもらい、「完治」と言われてからにしてください。

完治する前に無理して動いてしまうようなことがあると、治せるものも治せなくなってしまいますし、それどころか悪化してしまうことだってあります。

ですので「完治」と言われるまでは、動作改善をするにしてもスローモーションで、絶対に患部に負荷がかからない状態で行うようにしましょう。

フォークボールは肘を痛めやすい

球速が速いフォークボールの使い手は要注意!

変化球の中で、もっとも肘を痛めやすいのはフォークボールやスプリッターだと言えます。フォークボールの投げ方は特殊で、人差し指と中指を大きく開き、そこにボールを挟み込むことによってボールの回転数を減らし、ホームプレートの手前でボールを落下させていきます。

ストレートのアヴェレージ(平均速度)が速いフォークボールの使い手ほど肘を痛めやすくなります。プロ野球や、メジャーに渡った速球派のフォークボールの使い手のほとんども肘の手術を経験しています。

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松坂大輔投手の肘痛の原因は親指にあった?!

平成の怪物と呼ばれた松坂大輔投手も、いよいよ引退してしまいますね。なんとか200勝まで頑張ってもらいたかったのですが、体の方がもう限界だったようです。

松坂投手も肘を痛めた経験があるわけですが、僕はプロコーチとして、その原因はボールを握る際の親指の使い方の変化にあったのではないかと見ています。

野球肘

助走をつけられる野手の肩への負荷は確かに小さい

時々、野球肩野球肘はピッチャー以外は心配いらないと勘違いされている親御さんがいらっしゃいます。「肩肘を痛めないようにうちの子にはピッチャーはやらせない」と考えている親御さんも一定数いらっしゃるようですが、これは間違いです。

確かに球数という面を考えればピッチャーが一番肩肘を痛めるリスクが高いわけですが、しかし他のポジションであってもキャッチボールからノック、ボール回しなどの練習をトータルで考えると、かなりの球数になっていきます。

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なぜ変化球を投げると肘を痛めるのか?!

野球肘の原因が変化球にあるとはよく言われることですが、これは正解であると同時に不正解でもあります。正しい投げ方をすれば変化球で肘を壊すことはありませんし、正しい投げ方ができていなければ多投しなくても変化球によって肘を痛めてしまいます。

スライダーにしてもシュートにしても他の球種にしても、ストレートとまったく同じ腕の振りで投げられれば肘を痛めることはありません。もちろんそのためにはまず、ストレートを肩肘を痛めにくい良いフォームで投げられるようになっている必要があるのですが💦

野球肘/内側・外側・肘頭の割合

一般的に野球肘は下記のような割合だとされています。

  • 内側型野球肘/60%以上
  • 外側形野球肘/20%程度
  • 肘頭形野球肘/3%程度
このように、肘の内側を痛めてしまうタイプの野球肘が圧倒的に多いんです。肘の内側には内側側副靱帯というものがあるんですが、この靭帯に外反ストレスがかかってしまうことで野球肘を発症しやすくなります。

肘が痛くなったことのない60%の子に野球肘の兆候

埼玉県のあるスポーツ外科の先生が病院からエコー診察をするための機器をグラウンドに持っていき、一度も肘が痛くなったことのない少年野球選手の肘をエコーで診たところ、なんと約60%の子たちに野球肘の兆候が見られたそうです。

このリサーチでも分かるように、野球肘というのは痛くなった時が発症ではないんです。発症した瞬間に痛くなる子もいれば、発症して何年も経ってから急に痛み出す子もいます。そして発症から時間が経てば経つほど、野球肘の重度は重くなる傾向にあります。

そして野球肘はできるだけ早く見付け、できるだけ早く治療した方が治りやすくなります。こう考えると、肘が痛くなかったとしても、親御さんは一年に1回程度はお子さんの肘をスポーツ外科の先生に診てもらった方が良いと言えます。

野球肩野球肘の治し方

あらためまして、自己紹介

はじめまして。僕のことは気軽にカズコーチと呼んでください。僕は2010年1月から野球専門のプロフェッショナルコーチとして、プロ野球選手の動作改善や自主トレサポート、データ分析をしたり、野球選手を支えるスポーツ外科の先生、理学療法士、トレーナーへの動作改善に関するテクニカルサポート、そして子どもたちが肩肘を痛めないように投げ方の個別レッスンを行っています。

よく「野球が好きで空いた時間でコーチをしている」と思われることもあるんですが、僕の場合はコーチを100%本業にしています。そして他野球塾のコーチたちよりも、はるかに多く野球動作の科学について勉強・研究をしてきました。

球速が速くても勝ち投手になれなければ意味はない!

僕は2010年1月以来、プロコーチとしてプロ野球選手のパーソナルコーチングや、小学生から大人まで数え切れないほどのアマチュア選手のレッスンを行ってきたわけですが、球速に関しては「速いに越したことはない」というスタンスで、物凄く速いボールを投げなくても、怪我なく勝てる投手になれればそれで良いと考えています。

プロ野球を目指している選手であれば、高校・大学クラスなら150km前後のボールを投げられるようにするためのレッスンを行なっていきますが、160kmや165kmという、大谷翔平投手クラスの球速は必ずしも投げられなくても良いと考えていきます。その理由はやはり、怪我のリスクが高まるためです。

仮に文句のつけようのない完璧な投球フォームで投げていたとしても、球速が上がれば上がるほど肩肘への負荷は高まり、怪我をするリスクも比例して高くなってしまいます。

165kmを投げられたからといって、100戦100勝できるわけではありません。ロケットの異名をとったロジャー・クレメンス投手でさえも通算勝率は.658なんです。160km以上のボールを投げられても、10試合投げたら3〜4回は敗戦投手になってしまうんです。

それならば体への負荷を減らし、パワーピッチングをしなくても勝てる投手を目指した方がプロ野球には近づくことができます。もちろん球が速いと「球速は天性。コントロールはこれから何とでもなる」と考えるスカウトマンもいるわけですが、そこからドラフトにかかって本当に活躍した投手というのは、数え切れないほどのそのような投手たちの中で、僕の知る限りでは石井一久投手くらいだと思います。

その他の球速だけで制球力がない投手たちは、プロ入り後に怪我をしたり、変化球とのコンビネーションを使えなかったり、ほとんどの投手が鳴かず飛ばずのままユニフォームを脱いでいます。

野球は陸上のような個人種目ではありませんので、170kmを投げられたとしても、チームを勝利に導くピッチングができなければ意味がありません。

110kmを投げられたとしても、小学生は投げるべきではない!

もちろん最低限の球速というのは必要だと思います。プロ入りを目指す高校生・大学生であれば、150km前後は必要ですし、小学生であれば90km以上は投げられた方がいいでしょう。

しかしたまに見かける110kmくらいのボールを投げられる小学生投手たち。僕もそのような小学生投手の情報はある程度は追跡調査をしているのですが、多くの子たちが中学・高校で肩肘を痛めてしまい、中には野球を辞めてしまった子もいました。小学生で110kmを投げられたとしても、結局は怪我で甲子園の夢も、プロ野球の夢も潰えてしまったわけです。

いくら110kmを投げられたとしても、小学生は小学生です。まだ体は出来上がっていないし、その球速を投げた際の衝撃に耐えられる体の強度もありません。ですのでいくら良い投げ方をしていたとしても、その後肩肘を痛めてしまったとしても不思議はないわけです。

千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手の育成方法は素晴らしいと思います。プロ入り前は超高校級のストレートを投げていたわけですが、プロ入り後は球速は抑えさせ、5年後に165kmの球速を投げても怪我をしない体づくり、フォーム作りを徹底させています。

プロコーチとしての僕の考えは、小学生には、いくら110kmを投げられたとしても投げさせるべきではないということです。110kmを投げさせるのは、体が強くなり始める中学生に入ってからで十分です。

一般的な目安としては、6年生で90〜100km、中三で120〜130km、高三で140〜150kmという感じでステップアップさせていけば、十分プロ野球のスカウトマンの目に留まっていきます。プロ野球選手になりたいのであれば、体を壊すようなピッチングをさせてはいけません。高卒でプロ入りするのか、大卒でプロ入りするのかということを逆算しながら、体の強さに合わせてストレートのアヴェレージを調整していく必要があります。

近年は小中学生でもガンガン筋トレをして目先の球速を追い求めてしまっていますが、怪我をせずに勝てる投手を目指すということを目的にするのであれば、そのやり方は間違いだと断言できます。

やはり一番は、まずは科学的に怪我をしにくい理想的な体の使い方を覚えるべきです。球速はそのフォームと体の強さを手にすれば自然とアップしていきます。逆に球速がアップしないということは、フォームのどこかにおかしな部分があるということです。

小学生の時はボールが速かったのに、中学生になって体が大きくなったら球速が低下してしまったという多数の選手が僕のレッスンを受けにきます。その場合、小学生時代のフォームの動画を見させてもらうと、腕っ節だけで投げているケースが大半です。すると中学生になって手足が長くなると、腕っ節が扱いにくくなってしまい、フォームを崩して球速が低下してしまうケースが多々あります。

そうならないように、やはり投球フォームは科学的に野球動作を学んだ指導者に見てもらうべきです。身近にそのようなコーチがいるのがベストですが、実際にはほとんどいないと思いますので、そのような場合は僕のようなプロコーチから、科学的根拠のあるレッスンを受けていただくのがベストです。

僕の動作改善に関するレッスン内容のすべてには、科学的根拠があります。科学的根拠なしに、経験則だけで生徒さんをレッスンすることは100%ありません。そして科学的根拠があるからこそ、本気でレッスンを受けていただければ誰でも必ず上達することができるわけなのです。

子どもたちの野球肘は、大人たちによる人災と言えなくもない!

僕のオンラインレッスンを受けてくれた生徒さんたちの実に90%以上が、内旋型トップポジションから投げていました。そしてその投げ方を「子どもの頃コーチやお父さんに教わった」「今現在コーチやお父さんにそう教わっている」と教えてくれた生徒さんが大半でした。つまり勉強不足の大人たちが、子どもたちに肘を痛めやすい間違った投げ方を教え込んでしまっているのが、日本の少年野球の実情なのです。

僕はプロコーチに転職した2010年1月以降、一貫して選手たちに怪我をしにくい投げ方を前提にレッスンを続けています。そして僕のレッスンにより、今までは投げるたびに痛かった肘がまったく痛まなくなったという選手が大勢います。

もちろん僕はお医者さんではありませんので、肘の痛みを治療することはできません。ですので医学的に治療が必要なコンディションの肘痛を治すことはできませんが、しかしキャッチボールやピッチングへのドクターストップが解除されているコンディションであれば、動作改善によって、肘が痛まない投げ方に変えていくことができます。

実はスポーツ整形のお医者さんもよく解っていない肘を痛めにくい投げ方

僕のように、スポーツ医学を理解している野球塾のコーチというのは本当に稀です。ほとんどいないと言っても過言ではありません。そして実は、野球選手を治療するお医者さんのほとんども、肘を痛めにくい投げ方というものを知りません。

僕は時々スポーツ医学のセミナーにも参加するのですが、そこでレクチャーされるのはまさに内旋型トップポジションなんです。高いお金を払って医学セミナーに参加しても、間違ったことを教えられてしまうんです。

子どもたちの野球肘のほとんどは、大袈裟な言い方をすると人災です。大人たちが間違ったフォームを子どもたちに教えてしまうから引き起こされる故障です。

僕の生徒さんの中にも見受けられる最悪のスパイラルがあります。
「チームで教わった投げ方で野球肘になる」→「病院に通って痛みを取り除いてもらう」→「チームに戻って投げ始めるとまた痛くなる」→「また通院が始まる」→「今度は再発を防ぐために僕のレッスンを受けて動作改善をする」→「投げても肘がまったく痛まなくなる」→「チームに戻って投げ始めるとコーチがまた間違った動作を教え込もうとする」→「また肘が痛くなり通院が始まり、また僕のレッスンを受けなければならなくなる」
これがまさに最悪のスパイラルです。

ちなみに船橋整形などのように、本当に肩肘を痛めにくい良い投げ方の指導ができるお医者さんがいらっしゃる病院も、稀にあります。しかしスポーツ整形のほとんどでは、そのような本当に正しい動作指導は受けられないと思っていた方が無難です。ただし痛みを治すことに関してはどのお医者さんもプロフェッショナルですので、そこはお医者さんの指示に従ってください。

TeamKazのレッスンを受ければ97%の確率で野球肘を回避できる!

これは決して大袈裟な表現ではなく、野球肘は撲滅させることができます。大人たちが思い込みによって間違った投げ方を子どもたちに教え込まなければ、肘が痛くなる子を大幅に減らすことができます。例えばこれから野球を始める子を100人集めて、僕が正しい投げ方をその子たちに教えれば、97%程度の確率で肘の痛みを回避することができます。

なぜ100%ではなく、97%程度かと言うと、11歳くらいの年齢になると、1〜3%程度の確率で遺伝的に骨と血管の成長速度に相違が生まれ、一時的に肘が痛くなることがあります。これは野球をまったくしていない子にも起こることで、これを調べるためには病院でレントゲンなどを撮り、医学的に詳細を見ていく必要があります。

この遺伝的な痛みは、痛い時はしっかり休んでおけば放っておいてもそのうち治ります。しかし痛い状態で無理して投げ続けてしまうと、痛みを庇うような投球フォームを体が覚えてしまい、本物の野球肘を引き起こしかねません。このような理由から、100%ではなく97%程度と言わざるを得ないんです。

本当に正しいトップポジションは下半身で作られる!

冒頭で内旋型トップポジションというキーワードを出しましたが、野球肩野球肘にならない正しいトップポジションは、外旋型です。しかしこの外旋型トップポジションは、上半身の動きだけで作れるものではありません。内旋型トップポジションは上半身だけでも作れてしまいますが、外旋型トップポジションは両股関節を適切に使っていかなければ作ることができません。つまり「内旋型=手投げになりやすい」、「外旋型=下半身をしっかり使わないと作れない」ということになります。

少年野球の指導者で、股関節の使い方を適切に指導できる人は多く見積もっても0.001%程度ではないでしょうか?僕のコラムを何度も熟読してくださった方であれば、もしかしたら股関節の動作の正しい指導をできるかもしれません。しかし一般的には、有料野球塾のコーチであっても股関節の正しい使い方は理解していません。

もちろんTeamKazでは本当に正しい股関節の使い方をレッスンすることにより、下半身と上半身の連動を良くし、外旋型トップポジションを作れるようにレッスンをしています。ちなみにアメリカには股関節専門のトレーニングジムがあって、そこには野球動作を科学的に学んだ僕のようなプロフェッショナルコーチも在籍しています。

野球肘にならないトップポジションに関するまとめ

とにかくポイントは内旋型トップポジションは今すぐやめて、外旋型トップポジションのマスターを目指すということです。テイクバックからコックアップし、手部が頭の横に来た時、指先が二塁側・手の甲が上を向いた形が肩肘を痛めない外旋型トップポジションの完璧な形です。しかし最初から完璧を目指そうとはせず、少しずつ完璧な形に近づけていく、とういアプローチが重要です。そして大事なのでもう一度書いておきますが、これは股関節の動作改善なくして作ることはできない動作です。

手部が頭の横に上がってきた時、手のひらが外側を向いているのが内旋型トップポジションとなるわけですが、このトップポジションで投げてしまうと、かなり高い確率で野球肩野球肘になります。スポーツ整形のお医者さんが病院にあるエコーをグラウンドに持参しリサーチされた結果を参考にすると、だいたい30%以上の子が投球時に肘の痛みを実感するようになり、60%以上の子に痛みのない野球肘予備軍の兆候が見られるそうです。

ちなみに外旋型トップポジションは野球肘になりにくいだけではなく、ボールの加速距離を伸ばせる分球速もアップしやすくなり、手部の動きにも無駄がなくなるため制球力もアップしやすくなります。ですのでポジション問わず、本来であれば全選手が外旋型トップポジションからボールを投げるべきなんです。しかし少年野球や野球部の指導者でそれを教えられる人はまずいません。だからこそ僕のようなプロフェッショナルコーチが求められている、というのが現状なんです。

肘を先行させると野球肘になりやすいという考えは間違い

近頃アーム式の投げ方(カタパルト投法)が見直されているという話をよく耳にします。その理由としては、肘を先行させて投げると肘を痛めるリスクが高くなるからだそうです。しかしこの考え方は完全に間違いで、野球動作を科学的に勉強したことがない人たちの思い込みです。

肘を先行させて投げると肘への負荷が高まる、とだけ書くとこれは正しいとは言えませんが、確かに間違いではありません。しかし言い方を変えると、正しい肘の先行のさせ方をすれば肘に負荷はかからない、と言えます。肘を先行させると野球肘になりやすいと話す指導者は、間違った肘の先行のさせ方しか教えることができない人である、と判断して間違いないと思います。

肘を先行させないためにあえてアーム式で投げる、もしくはアーム式を直さない、というのは非常に危険なことです。肩関節や肩甲骨の可動域が広ければ広いほど、アーム式の投げ方では肩にかかる負荷が大きくなります。また、肩関節の内外旋の順番が間違っていれば、同時に肘へのストレスも高まります。

じゃあ可動域が狭ければアーム式でも良いのか、となると、体が硬ければそれはそれで怪我につながりますので、アーム式云々ではなく、野球をされるのであればスポーツを楽しむのに最低限必要な柔軟性は身に付けておくべきです。

アーム式では正しいオーバーハンドスローはできない?!

そしてアーム式の投げ方でオーバーハンドスローで投げようとすると、多くのケースで肘が高くなり過ぎてしまいます。投球時に肘が下がるのは良くない、ということはみなさんよくご存知だと思いますが、上がり過ぎても同じように良くないんです。

右投げであれば左肩・右肩・右肘を結んだ線分が一直線になっている必要があります。左投げなら右肩・左肩・左肘です。アーム式のオーバーハンドスローでこれを実現させようとすると、上半身をグラブ側にほぼ90度傾けていかなければ、純粋なオーバーハンドスローにはなりません。しかしこのような投げ方は物理的にはほとんど不可能です。

となると、どうしても肘を必要以上に高く上げることにより、上述の線分を上へ折り曲げていかなければ、アーム式の投げ方ではオーバーハンドスローにならなくなります。すると肩への負荷は、肘が下がっている時と同様に大きくなります。

「アーム式は野球肘になりにくい」という間違った思い込み

もちろんオーバーハンドスローではなく、スリークォーター以下の腕の高さであれば、アーム式でも肘を上げ過ぎずに投げることは可能です。しかし基本的には、ボールを投げる動作では肘が伸ばされている時間が短ければ短いほど、肩肘への負荷を抑えられるようになります。

もし子どもたちが「アーム式にすれば野球肘にならない」という話を聞き、アーム式で投げるようになってしまえば、必ず多くの子どもたちが野球肩になってしまうでしょう。そうならないためにも、野球に携わる大人たちは無責任に思い込みで情報発信をすることは避けなければなりません。

情報発信をするなら思い込みや経験則は一旦横に置いて、その情報が理論的に本当に正しいのか、理論的に説明がつくのか、ということを確認してからアウトプットしていくべきです。

「アーム式なら野球肘になりにくい」という考え方は100%間違いです。「内外旋の順番が正しい肘を先行させる投げ方なら野球肘になりにくい」なら、理論的に説明することができます。しかし「アーム式=野球肘になりにくい」という言葉は、理論的には間違いです。

エビデンスがまったくないアーム式に関する情報発信

代表的な選手1〜2名がアーム式で1〜2年怪我せずに活躍できた、というのはエビデンス(論拠)にはなりません。100名以上の選手を数年間観察し、それでもほとんどの選手がパフォーマンスがアップし、肩肘を痛めることもなかった、という状況であればそれはエビデンスになるかもしれません。

しかし近頃情報発信されることが増えた「アーム式=肘を痛めにくい」という考え方にはエビデンスが存在しておらず、無責任な情報発信だと言い切ることができます。アーム式で投げたい選手は投げれば良いと思います。しかし「野球肘にならないようにアーム式にする」という考え方は、絶対にしないように気をつけてください。

2010年1月にプロコーチデビューして以来、1500人以上の選手たちを個人レッスンしてきました。が、プロアマ合わせても、「この選手にコーチングは必要ない!」と思えるほど良い形で投げていた選手は、アメリカで担当した2投手だけです。確率的に0.13%です。日本では、僕がコーチングを担当した選手に限って言えば、完璧な投げ方をしていた選手は0%です。

解剖学は筋肉の名前を覚えるだけではない!

僕らのようなプロコーチは目視だけでもある程度正確に、そしてハイスピードカメラを使うとかなり正確に、その選手が今後どこを怪我しやすいか、もしくは怪我したことがありそうな部位を数分で見抜くことができます。例えばスローイングアームだけを見ても、肘の内側、真ん中、外側、肩の前方、真ん中、後方、上腕二頭筋、上腕三頭筋など、これだけ野球選手が痛めやすい部位があるんです。

それらの部位を、ボールを投げている最中にどう使ってしまうと痛めやすいのか、ということは、解剖学が頭に入っていなければ判断することができません。解剖学とは、ただ筋肉や関節の名前を覚えるだけの話ではなく、どのように動くとその筋肉が働くのか、もしくはその筋肉を使うとどのような動作を行えるのか、など、筋肉それぞれの特性まで理解しておく必要があります。

筒香嘉智選手こそ野球を本気で愛している選手

筒香嘉智選手はかなり柔らかい表現で言ってくれていますが、しかし実際には日本の学童野球の指導内容は酷いレベルです。コーチングしている横では、週末はいくつもの少年野球チームが練習をしているのですが、ちらちら覗いたり盗み聞ぎ(笑)をしていると、あえて肩肘を痛めてしまうような投げ方を教えていることが多々あります。

筒香選手は「大人たちが正しいことを指導できなければならない」というようなことを仰っていますが、本当にその通りだと思います。高校野球の球数制限週500球に関してもナンセンスです。先発して100球程度なら、週5回先発できるという話になってしまいます。重要なのはそれほど意味のない球数による制限ではなく、指導者が、怪我をしにくい適切な投げ方の指導法を学ぶことではないでしょうか。

「下半身を使って投げろ」と言ってはいけない!

肩肘を痛めにく投げ方というのは、僕が指導する野球肩野球肘撲滅クリニックを受講された方ならご存じの通り、理論的に存在しています。僕のコーチングでは、腑に落ちないことは皆無のはずです。つまり「こういう投げ方ができるようになれば怪我はしない」という投げ方があるんです。しかし僕がコーチングをする前からそういう投げ方をしていたのは、上述したように2人だけです。もちろん僕が見たことない選手を含めれば、日本にもたくさんいるのかもしれませんが、僕のコーチング現場に限ってのみで言えば、まだ出会ったことはありません。

試しに僕が指導する内容を一度マスターしてみてください。今まで肩肘が常に痛かった選手であっても、ほとんど痛みなく投げられるようになるはずです。もちろん本格的な治療が必要なレベルではない、という段階においてではありますが。「下半身をしっかり使わないと肩肘を痛める」というのは、野球肩野球肘を防ぐための指導とは呼べません。下半身と上半身を具体的にどう使って投げれば怪我を防げるのかと、そこまで明確に伝えることが「指導(コーチング)」です。選手たちからすれば「もっと下半身を使って投げろ!」と言われても、「え?どうやって?」って戸惑ってしまうだけです。選手から戸惑いを排除させてあげられる人こそ、コーチと呼ぶにふさわしい人だと言えます。しかし日本の学童野球では、選手を戸惑わせる人ばかりのようです。

野球肩や野球肘の予防法を学びたい時はご注意ください。一般書店で市販されている野球教則本では、肩肘を痛めない投げ方を学ぶことはできません。僕自身、数え切れないほどの野球教則本を、新旧問わず拝読させていただきましたが、一般書店で売られているタイプの野球教則本で、解剖学的に肩肘を痛めない投げ方が解説されているものはほとんどありませんでした。

肩肘を怪我しないためにもパワーポジションはNG

中には、野球選手の治療を専門とするドクターが書かれている本もあるわけですが、その本でさえも「?」がつくようなことが書かれています。ちなみに野球選手の指導を実際にされているトレーナーさんが書かれている本は、解剖学的にも投球動作的にも、エビデンスがある正しい動作が解説されていることがほとんどでした。しかしお医者さんが書かれている一般書店で売られている本には、肩肘を痛めない投げ方を学ぶための本なのに、パワーポジションが推奨されていたりするんです。パワーポジションとはコックアップの終盤付近で肘を90°以上に開くことにより、アクセラレーションの距離を伸ばし、球速をアップさせるためのモーションなのですが、パワーポジションで投げるとあっという間に肩肘を痛めます。

パワーポジションは、アメリカの超有名なパーソナルコーチが提唱しているモーションなのですが、メジャーリーグとマイナーリーグの投手たちを観察していくと、パワーポジションで投げている投手の多くが肩肘の手術を受けています。実は日本にもパワーポジションという言葉が誕生する以前、80年代からすでにパワーポジションで豪速球を投げている投手たちが存在していたのですが、1軍で活躍した投手に関していうと、肩痛で全滅しています。

外科の先生も実はよくわかっていない正しい投球フォーム

僕は野球選手を治療する外科の先生やPTさん(リハビリを担当される方々)に野球動作の指導を機会もあり、外科の先生たちが集まる野球肩野球肘予防に関する勉強会に参加させてもらうこともあるのですが、肩肘を痛めない投げ方を理解されている先生やPTは最初は皆無でした。そんな方々が、治療後に投球動作の指導をしてしまっていたのです。

先生やPTさんたちは、痛みを取り除く作業に関してはプロフェッショナルで、そこに僕が口を挟む余地はありません。しかし肩肘を痛めないフォームを知っているかと言うと、まったくそんなことはないわけです。そのため外科の先生が書かれているような予防系の野球教則本にも、間違ったことが書かれていることがあるわけです。もちろんすべて間違っているわけではなく、一部が間違っているというだけです。

スポーツ関連の医学書は一般書店では買えない

もし投手育成コラムを読んでくださっている方で、本気で野球肩野球肘の予防法を学びたいという方は、医学書が並んでいる書店に行ってください。東京でいえば池袋のジュンク堂書店や、新宿の紀伊国屋書店などです。ちなみにスポーツ医学系の本や雑誌を買うと、全国の医学書を取り扱っている書店一覧が載っていたりしますので、そのあたりも書店を探す参考にするといいかもしれません。

ちなみに、残念ながらAmazonで購入することはできません。一部の医学書はAmazonでも購入できるのですが、少なくとも僕が購読しているスポーツ医学系の雑誌や、野球動作に関する医学書は、Amazonでは売られていませんでした。あ、それとスポーツ医学系の野球動作に関する本はかなり高いです。薄っぺらい月刊誌でも1000円しますし、薄っぺらくない月刊誌でも2500円程度、それが専門書となると4000〜5000円ならまだ安い方。7000円、10000円する本もざらです。なので勉強されたい方は出費に関する覚悟も持たれた方がいいかもしれません。

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コーチング中にお父さんお母さんとお話をしていると、野球少年たちの肘痛が本当に多すぎるということを実感させられます。野球をしている限り、野球肘というのは避けて通れないものなのでしょうか?いえ、そんなことはありません。理論的に、野球肘になりにくい良い投げ方というものがちゃんと存在しているんです。


子どもたちの野球肘を減らすのに効果的な、最も手っ取り早い方法があります。非常に簡単です。誰にでもできます。それはですね、野球動作を理論的に学んでおらず、経験則でしか教えられない野球経験者が、子どもたちに投げ方を教えることをやめる、ということです。これが最も手っ取り早いと思います。

僕はこれまで、何十チームという少年野球チームの練習風景を観察してきましたが、野球肘になりにくい良い投げ方を指導できているチームは1つもありませんでした。逆に「その投げ方をさせたら肘痛めちゃうよ!」という動作を教えてしまっているチームがほとんどでした。

高校以上の野球強豪校になると、時々肘を痛めにくい投げ方をご存知の監督さんもいらっしゃいます。それでも稀です。しかし小中学生のクラブチームのボランティアコーチでは、野球肘になりにくい投げ方を理解されている方は限りなく0%に近いと思います。ちなみに一般書店で市販されている野球教則本のほとんどで、野球肘になりやすい投げ方が解説されてしまっています。そのような野球教則本の著者も発行者も、本当に勉強不足です。

極論、試合で勝つための方法なんてどうでも良いんです。試合に勝てたとしても、野球肘になることで健康を失ってしまってはスポーツをするメリットが半減してしまいます。プロじゃない限り、スポーツは健康のためにするものです。しかし野球界に関しては小学生の段階で肘を痛めている選手が多すぎます!

少年野球でも今年から本格的に球数制限が導入されるわけですが、試合での球数を制限したところで抜本的な解決には至らないと思います。日本ではいまだに朝8時から夕方暗くなるまで子どもたちを野球漬けにしてしまっています。試合での球数を減らしたところで、良くない投げ方でこんなに長時間練習をさせれば、試合に出る前に肘を痛めてしまいます。

野球肘にならない投げ方をお子さんに身につけて欲しいですか?聞くまでもなく、お父さんお母さんなら誰もがそう思っていると思います。僕のコーチングでは、とにかく肩肘を痛めないフォーム作りを徹底して行なっています。その上で、パフォーマンスが向上していく流れを作っています。手の動かし方ばかりを指導する小手先のコーチングではなく、足の使い方、土台の作り方から徹底したコーチングを行なっています。そしてしっかりとした土台を作った上で、肘痛になりにくい上半身の使い方を指導するというコーチングを行なっています。

だからこそ肘痛に悩んでいた多くの選手たちが、コーチング修了後は肘痛に悩まずに野球を続けられるようになっています。

僕のコーチングは小学生以上であれば、日本全国から受けていただくことができます。ですので肘痛に悩んでいる方、そして肘痛になりにくい良い投げ方を身に付けたい方は、ぜひ受講してみてください。僕がお伝えする肘痛になりにくい投げ方に対し、必ず「なるほど!」と実感していただけるはずです!

先日、コーチングの合間に30分くらい時間が空いてしまったため、すぐ横で練習をしていた少年野球チームの練習風景を眺めていました。そこでは熱血お父さんコーチが指導されていたのですが、やはりいくら情熱があったとしても、野球動作に関し正しい知識を持っているお父さんコーチは非常に少ないようです。


キャッチボールをしていたのですが、普通のキャッチボールをしたあと、子どもたちに両膝を地面につかせて膝立ちにさせ、肩関節だけを動かして15mほどの距離を投げるキャッチボールをさせていました。果たしてこのキャッチボールの意図はなんなのでしょうか?我々プロコーチの目からすると、これは手投げを身につけるための練習にしか見えません。

手投げとは専門的には「骨盤回旋不良投法」などと言うわけですが、非軸脚側の股関節を正しい動かし方で使わずに、肩関節を曲げることによってボールを投げる動作を手投げと言います。手投げという言葉は曖昧な言葉のようにも思えますが、実は厳密な定義があるんです。

上述したような動作でキャッチボールを続けてしまえば、当然手投げが体に染み込んでしまい、下半身の力を上半身に伝えて投げるという動作ができなくなってしまいます。そしてボールを持っているうちに肩関節を曲げて使ってしまうと、あっという間に野球肩・野球肘になってしまいます。

お父さんコーチはボランティアであるため、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれませんが、しかし手投げを覚えさせてしまうような練習は避けるべきだと思います。

ちなみに当野球塾では初回から徹底的に下半身の使い方を覚えてもらうという流れでコーチングを進めています。上半身の動きは、下半身の土台が安定するからこそ安定するものであり、土台がない状態で上半身の動きを覚えようとしても、これは家と同じでなかなか安定することはありません。

もし所属されているチームの指導内容に不安がある場合、当野球塾でなくても、ぜひお近くの野球塾に手投げを改善するための具体的なコーチングを受けに行ってみてください。ボランティアコーチしかいないチームとは異なり、目からウロコのコーチングを受けられるはずです!

皆さんはパワーポジションという投球動作用語を聞いたことがあるでしょうか?トップポジションという言葉は聞いたことがあると思いますが、パワーポジションという言葉を聞いたことがある方は、日本では少ないのではないでしょうか?


トップポジションという言葉は、投手育成コラムではこれまで数え切れないほど登場してきました。しかしパワーポジションという言葉は初登場です。と言いますのは、あまりオススメしたくない動作だからです。トップポジションの復習をしておきますと、コックアップをし終えた後に肩関節が最大限外旋したところをトップポジションと言います。このトップポジションの形になって、初めて腕がしなっているように見えるようになります。

一方パワーポジションとは、コックアップし終えた後、肩関節を内旋させて、肘の内角を90°よりもやや広く伸ばした形のことを言います。パワーポジションは、メジャーリーガーを数多く指導しているアメリカ人パーソナルコーチが推奨している、パワーボールを投げるためのモーションなのです。でもわたしは絶対に推奨しません。

日本の少年野球でも、パワーポジションに近い形が指導されているケースが非常に多く見受けられます。しかしもちろん、少年野球のコーチたちがパワーポジションのメカニクスを理解していることはないと思います。パワーポジション、もしくはそれに近い形、つまりコックアップを終えたポイントで肩関節を内旋させてからアクセラレーション(加速期)に入ってしまうと、肘の内側が強制的に伸ばされる状態になってしまうんです。

肘の内側、つまり内側側副靱帯ですね。野球肘と呼ばれる症状のほとんどはこの内側側副靱帯の損傷です。そしてトミー・ジョン手術もこの内側側副靱帯を修復するための手術です。

パワーポジションを作ると、確かに力に頼りやすくなるため、初速をアップさせることができます。しかし終速もアップするかと言えばそんなことはありません。もちろん相対的には多少はアップするかもしれませんが、パワーポジションでアップさせられるのはほとんど初速だけです。

メジャーリーガーのように160キロ前後のボールを投げられれば、そのままの勢いをある程度はキャッチャーミットまで維持することができます。しかし140キロ以下、特に小中学生の球速程度では、初速と終速の差は広がるばかりとなってしまいます。つまり失速して打ちやすいストレート、ということですね。しかも肘を痛めるリスクが非常に大きい!!

簡単にトミー・ジョン手術を受けられるメジャーリーガーで、内側側副靱帯への大きな負荷を承知した上でパワーポジションを作るのならば良いと思います。しかしそうでない場合はパワーポジションではなく、トップポジションを作るべきです。トップポジションは、パワーポジションほど初速はアップさせられませんが、ボールの回転数を増やしやすいため、初速と終速の差が小さくなります。その結果、仮に球速が遅かったとしても空振りを取れる伸びのあるストレートを投げられるようになります。

しかもトップポジションを良い形で作ることができると、肘への負荷はほとんどなくなります。なぜなら肘が伸ばされる瞬間がなくなるからです。筋肉や靭帯の損傷は、それらが伸ばされた時に起こります。良いトップポジションを作ることができれば肘が伸びなくなりますので、肘への負荷はほとんどなくなり、野球肘になるリスクも最小限に抑えられるようになります。

野球をやる上でとにかく一番大事なことは、怪我をしない、させないということです。そのためにも特に少年野球チームのコーチはパワーポジションではなく、トップポジションを使った投球・送球モーションを子どもたちに指導すべきだとわたしは考えています。

今回の投手育成コラムではワインドアップ、ノーワインドアップ、セットポジション、クイックモーション、プラントレッグの違いについてかんたんに解説をしてみたいと思います。


まずワインドアップというのは両腕を頭の上に振りかぶってモーションをスタートさせる投げ方です。ノーワインドアップは振りかぶらないこと以外は、ワインドアップとほとんど同じです。

セットポジションはあらかじめ両足をプレートと平行にセットした状態から投げ始めます。クイックモーションはセットポジションとほとんど同じですが、盗塁を防ぐために非軸脚をほとんど上げずに素早く投げます。

最後にプラントレッグというのはあらかじめ足を大きく開いた状態でセットし、非軸脚はもちろん振り上げず、ステップもほとんどせずに投げます。

ピッチングモーションのポイントは、どれだけ股関節を上手に使えるかどうかにあります。股関節を使えない投げ方=手投げと言い、専門的には手投げのことを「骨盤回旋不良」と言います。ワインドアップがもっとも股関節を深く使うことができ、クイックモーションやプラントレッグでは股関節の使い方が非常に難しくなります。

時々制球力を良くするためにワインドアップではなく、セットポジションで投げるように指導するコーチがいますが、これは間違いです。制球力は股関節の動作を改善することによりスローイングアームの動き方をコンパクトにし、良くしていきます。つまりワインドアップで制球力が悪い投手は、セットポジションに変えても根本的に制球力が改善することはありません。

それどころから股関節の使い方が浅くなってしまう分手投げになりやすく、小手先でコントロールする悪い癖がつき、それによって投球時に肘がロックされやすくなり、肘を痛めてしまいます。

特に小学生のように投球動作のスキルがまだ高くない場合、投手もキャッチボール中の野手もワインドアップで投げるべきです。股関節を上手に使うことができると肩肘を使って投げる必要がなくなり、野球肩・野球肘のリスクを軽減させることができます。

ちなみにワインドアップとノーワインドアップに関しては、どちらでも良いと思います。この2つに関しては自分自身がリズムを取りやすいフォームを選択すれば問題ありません。最初の構えの時に両靴がまっすぐキャッチャーの方を向いていて、振りかぶると同時に非軸足を一足分バックステップし、そこから軸脚側の股関節を90°開いて軸足をプレートにセットする形ができていれば、どちらを選んでも大差はありません。

ワインドアップでは股関節を深く使える分体全体を使えるようになり、プラントレッグに近付くほど股関節を深く使うことが難しくなります。股関節を使えない分、通常ワインドアップと比べると、セットポジションでは5km/h前後球速が低下してしまいます。ただしプロ選手でも一握りしかいない、股関節の使い方が非常に上手な投手であればワインドアップとセットポジションでの球速差はほとんど出ません。例えばダルビッシュ有投手などは、ほとんど球速差が見られない投手だと思います。

小学生選手の将来を考えるならば、やはり通常はしっかりと振りかぶり、股関節を深く使いやすいモーションで投げるべきだと思います。ただ、中にはセットポジションでないとリズムを作れない投手も稀にいます。そういう場合に関してのみは、セットポジションで股関節を深く使うための技術を、ちょっと難しいですが身につけていけば良いと思います。

野球医学の教科書』をはじめとし、本屋さんに行くと野球肩や野球肘関する本がたくさん並んでいる時代になりました。それだけ皆さんが怪我予防に関し敏感になってきたのは良いことだと思います。しかし実際問題として野球肩野球肘は減っているどころか、割合としては増えているようにも感じられます。


実は野球肩野球肘にはそれぞれ起こりやすい年代があり、小学生は野球肩よりも野球肘が非常に多いんです。これはまだ関節が固まっていない段階で負荷をかけすぎてしまうためだと言えます。そして中学生以上になると野球肩の割合が、野球肘の割合に近づいて行く傾向があります。症例そのものは野球肘の方が多いのですが、野球肩の割合が小学生よりも多くなります。

本来、肘というのは一方向にしか曲がらない関節です。しかし誤った投げ方をしてしまうと肘が本来曲がらない方向に負荷がかけられてしまい、特に肘の内側(内側側副靱帯)を痛めやすくなります。埼玉県のスポーツドクターが小学生選手たちのエコー診察を行い統計を取ったところ、痛みが出ていなくても野球肘の兆候が見られる子が非常に多かったそうです。

中学生以上になると体も大きくなり球速が速くなっていきます。にも関わらず肩関節を使ってボールを投げてしまうと肩の水平内外転動作が非常に大きくなり、肩周辺の筋肉が必要以上に伸ばされて痛めやすくなってしまうのです。

野球肩野球肘になる選手の特徴として、股関節を使えていないことがほとんどです。股関節を上手に使えているにも関わらず肩肘を痛めてしまう選手はほとんどいません。中にはいるのですが、股関節を含めた下半身を上手に使ったことで球速がアップし、その球速に筋力がまだ追いついていない場合となります。この場合は通院により痛みを抜き、その後パフォーマンスに合わせて筋トレを含むリハビリを行うと、ほとんど再発しなくなります。

肩や肘を痛める手投げ=股関節を使っていない投げ方、と考えていただいて間違いありません。股関節を上手に使えれば肩肘を使う必要がなくなり、同時に怪我をするリスクも低下させることができます。さらにはボールの回転も良くなり、リリースポイントも打者に近づくようになります。

しかし股関節を使えていないと肩や肘を使ってしかボールを投げられなくなり、肩肘への負荷は高まる一方ですぐに怪我をする結果になってしまいます。

小学生の場合、野球肘になる人数は野球肩になる選手の約2倍だと言われています。小学生はそれだけ野球肘になりやすいんです。だからこそ小学生のうちに、股関節を上手に使う肩肘に負荷のかかりにくい投げ方を身につけておく必要があります。そしてそのような投げ方を指導できるコーチは、少年野球チームには皆無です。わたしが知る限り、当野球塾で勉強されたお父さんコーチ以外ではまだ出会っていません。

だからこそ国語や数学を塾に教わりに行くのと同じように野球塾に通い、怪我をしにくい投げ方を熟知しているコーチの指導を受ける必要があるのです。もちろん当野球塾じゃなくても良いんです。お近くにそういうコーチが在籍している野球塾があれば、ぜひそちらに通っていただければと思います。

コーチを選ぶポイントは、股関節の機能を熟知しているかどうかです。それを知らないコーチは野球塾のコーチと言えど、肩肘に負荷をかけない投げ方を指導できない可能性が高いと思います。

しかしもしかしたら投球動作における股関節の機能を熟知しているコーチは非常に少ないのかもしれません。なぜなら当野球塾には日本全国からお子さんを連れてこられる親御さんがたくさんいらっしゃるからです。

野球選手にとって一番重要なことは、何よりも怪我をしないことです。例え球速がアップしたところで怪我をしてしまっては意味がありません。重要なのは怪我をしにくい投げ方により球速をアップさせることです。そのようなコーチングができるのはボランティアのお父さんコーチではなく、わたしたちのようなプロフェッショナルコーチの存在なのです。