野球を数値化してくれる本『ベースボールの物理学』

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今回ご紹介したいのはこちらの本です。『ベースボールの物理学』。その名の通り、野球に関することを物理学的に数値化させた本です。1996年に日本語化された本なのですが、当時としてはまさに画期的な一冊でした。ちなみに僕は初版本を所有し、購入以来10回くらいは繰り返し読んでいると思います。

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ハッキリ言います。この本の内容はすごく難しいです(笑)。なので、野球好きであっても物理とか数字が苦手な方は、この本はまったく楽しめないと思います。でもこの本に書かれていることを理解できるようでしたら、通常は抽象的にしか語られることのない野球に関するパフォーマンスを、具体的に理解できるようになります。

もしコーチがこの本を役立てるとすれば、質の良いストレートとはどのようなものなのか、ということを数値で理解し、その数値に近づけていくためのパフォーマンスコーディネイトを目指していく、という流れになると思います。

この本は実際には1994年にアメリカで出版され、書いたのは1987〜1989年の3シーズン、MLBナショナル・リーグの物理学顧問を務めたロバート・アデアという、素粒子物理学者です。あくまでも物理学者が書かれた本のため、時々、スポーツとしてではなく、あくまでも物理学的観点のみで書かれていることもあるのですが、それをスポーツ的観点で咀嚼していければ、本当に面白い本です。

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このノートは、僕がコーチに転職したての10年くらい前に計算した、野球パフォーマンスに関する計算式です。たぶんここまで深く野球を勉強しているコーチは僕を含め、本当に一握りだと思います。プロ野球選手の仕事は一生懸命練習して試合で結果を出すことです。一方プロコーチの仕事は一生懸命勉強して選手が試合で活躍できるようにコーディネイトしていくことです。だから僕は日々野球を学び続けているんです。

この一冊は本当に難しい本ですので、夜寝る前に読めば睡眠薬代わりになるかもしれません。僕自身、学生時代は完全に文系人間だったため、最初にこの本を読んだ時は書いてあることがまったく理解できませんでした。初めて読んだ時は僕はまだ高校生だったわけですが、英語・国語・社会は常に90点台だったんですが、数学に関してはいつも赤点ギリギリという体たらく(笑)。でも必要となると人は勉強し出すものですね。まさか自分自身がこのような数式を取り扱う職業に就くとは、学生時代は想像もしていませんでした。

この本はもう中古でもほとんど手に入れることはできませんので、Amazonでまだ中古が出ている今のうちに手に入れておいた方が良いと思います。ちなみにこの記事を書いている時点のAmazonのこの本の古本在庫は12冊となっています。しかも定価以上になっているケースが大半!今日現在はまだ定価以下で売られている古本もあるようですので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。