野球選手が走り込みを行う場合の注意点と得られるメリット

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冬季になると、毎年のようにチームで行なわされる走り込みについてのご相談をいただきます。走り込みにはどのような効果があり、どれくらい行うのが適切なのか、などのご質問をコーチングを受けている選手の親御さんからたくさんいただきます。今回のコラムでは走り込みについて解説していきたいと思います。


結論から言いますと、走り込みは必要です。ダルビッシュ投手や為末大さんなどは野球に走り込みは必要ないとコメントしているようですが、当野球塾では走り込みは必要なトレーニングだと考えています。ちなみにダルビッシュ投手や為末大さんの言葉は、親御さんから伺ったお話ですので、ダルビッシュ投手や為末大さんの言葉の真意はわたしにはわかりません。

走り込みは必要だと考えていますが、しかし走り込み過多は厳禁です。プロ野球選手のように体がしっかりと出来上がっているレベルの選手であれば、長時間走ってもフォームを崩さず走ることもできます。しかし小中学生の場合は走れば走るほどフォームを崩していき、崩れたフォームで走り続ければ必ずどこか怪我をしてしまいます。ちなみにわたしが以前お邪魔したとあるプロ野球チームの投手陣は、春季キャンプで5キロを楽に走れる投手が1〜2人しかいませんでした。その頃のそのチームはまさに12球団の中でも弱小チームでした。

フォームが崩れた状態で走り続けると、膝や腰を痛めやすくなります。特に小学生や中学1〜2年生という年代はまだ骨端線が固まっておらず、膝や肘などは特に痛めやすいんです。そして痛めた骨端線を放置してしまうと骨格が歪んだまま骨が成長してしまい、手術をしなければ治らないという状況にもなりかねません。

ちなみにスポーツ外科に精通されていないお医者さんの場合、ごく稀にですが、骨端線が原因の痛みを捻挫だと誤診してしまうケースが過去に多々ありました。すると治療方法が大きく変わってしまいますので、骨端線の不調を適切に治療することができず、この場合、生涯痛みを抱えてしまうケースもありますので、心配な場合はちゃんとしたスポーツ外科を受診するようにしてください。

走り込みはとにかく、適切なフォームで走れるだけの量以上は行わないことです。この冬に親御さんに聞いた事例では「3日で合計60キロ走らされた」「4時間走りっぱなしの練習をさせられた」「冬休みの間、毎日20キロずつ走らされた」というお話がありました。これらは小中学生という年代を考えると、明らかに過度な走り込みになります。

筋肉痛以外の痛みはすべて怪我です。現に上記のようなお話を聞かせてくださった親御さんのお子さんは膝痛、シンスプリント、足底筋膜炎、足首の捻挫、骨端線損傷などを患い受診したと仰っていました。つまりこれは必要なトレーニングではなく、ただのOTS(オーバー・トレーニング・シンドローム)であり、不必要な過度なしごきとなります。ちなみに運動心理学的には、しごきによりメンタルを強化することはできません。つまり根性をつけるために走り込みをさせるという考え方は、まったく非論理的で誤った考え方なのです。

過度な走り込みは実に非論理的で非科学的なしごきです。このような過度なトレーニングを選手に課す指導者は、まずは自分自身が選手と同じ量だけ走って見せるべきでしょう。するとまず動けないはずです。日本の少年野球チームの指導者のほとんどすべてはボランティアであり、指導法について勉強されている方は本当にわずかしか存在していません。アメリカの少年野球チームの場合はまったく異なり、よほどの初心者チームでない限りはわたしのようなプロフェッショナルコーチがチームに1人は在籍しています。そのため常に適切なトレーニングメニューで野球スキルを高めていくことができるんです。

なお走り込みを適切なフォームで適切な量をこなした時に得られる効果は、まずジョグのような有酸素運動であれば毛細血管を増やすことができます。激しい運動をした後というのは体が火照ると思いますが、この火照りは運動により毛細血管がたくさん切れて起こっているものなのです。

そして一度切れた毛細血管は再び繋がることはなく、新しく増やしていくしかありません。この毛細血管は筋肉などの回復力に大きな影響力を持っているため、有酸素運動により毛細血管をたくさん増やしておくほど、回復力が高まるという仕組みになっています。ただ、有酸素運動はジョグではなく、エアロバイクや自転車、エアロビクスなどでも行うことができます。ダルビッシュ投手は恐らく、有酸素運動はエアロバイクでも行えるため走り込みは必要ない、というニュアンスで話していたのではないでしょうか。

走り込みにはもう一つ大きな利点があります。それは走る動作というのは、体の連動を高めてくれるという点です。速く走るためには股関節を自転車のペダルのようにスピーディーに動かしていく動作が必要となります。つまり適切なフォームで走ることができれば、股関節のコンディショニングと強化を行うことができるんです。

股関節とは上半身と下半身の繋ぎ目であり、股関節が動かなければ、いくら下半身で踏ん張ったとしてもその力が上半身に伝わることはなく、下半身を鍛えていたとしても結果的に手投げになってしまいます。

わたしはよく選手たちに「腕で走り、脚で投げるように」と指導します。走る動作というのはもちろん脚で行うものですが、その脚を動かす役割を担っているのが腕なのです。腕を適切なフォームで前後に大きく振ることができれば、脚は自然と腕の動きに連動していくようになります。そして連動しているということは、股関節も機能しているということになり、それができるようになると、脚の動きによって腕を動かしボールを投げる理想的な動作も身につけやすくなるんです。

野球のパフォーマンスはキネティックチェイン(運動連鎖)と言って、下半身を発端にしたエネルギーをどれだけ効率良くボール、もしくはバットに伝えていけるかが鍵となります。このキネティックチェインを最下部(つまり足部)から順番に上へ上へと繋げていくことができれば、筋肉をモリモリにしなくても速いボールを投げることができるんです。ただし速いボールを投げた時の衝撃に耐え怪我を防ぐため、ある程度の筋肉は必要となります。

さて、最後に適切なフォームで走るコツをお伝えしておきたいと思います。グラウンドには塁線が引いてあると思いますが、その白線の真上に両足を真っ直ぐ着地させながら走ってみてください。すると股関節をしっかりと使って走ることができます。インステップにもアウトステップにもならないように足を着地させて走ってみてください。

そして内股やガニ股にもなってはいけません。疲れてくるとどんどん内股やガニ股になって行ってしまいますが、その状態で走り続ければ必ず膝を痛めます。これは骨端線がしっかりと固まった大人でもそうですので、小中学生世代であればなおさらです。

両腕に関しては、スプリントの場合は肘を常に90°くらいに保って、脇を締め、肩甲骨を使って前後に大きく振っていきます。ジョグの場合も肘は90°くらいにし、大きく振る必要はありませんが、広がらないように前後に軽く振っていきます。

ちなみに小学生世代というのは一般的にはスタミナが大きく増えることはなく、逆にスプリントを強化することができます。あくまでも一般的な話ですが、短距離走が速くなるのは小学生世代までで、小学生のうちに短距離を速く走れるようにしておかなければ、中学生になっていきなり短距離走が速くなることはありません。ですので小学生世代が走り込みを行うのであれば長距離はせいぜい2キロくらい、走れる子でも5キロくらいにしておき、あとは盗塁練習のような20メートル走を10〜20本やるだけでも十分だと思います。

中学生世代の場合はスプリントトレーニングも速筋を養うという意味では重要ですが、この世代はスタミナを一気に伸ばせる世代となります。ですのでその日の最後のメニューとして3〜10キロ程度走るといいと思います。

走り込みを行う際の注意点は、必ず走る直前と走り終わりに脈拍を計ることです。走る直前と比べ、走り終わりでどれだけ脈拍が上がっているのか、そしてその後2〜3分ごとに脈拍を測り、どれくらいのペースで走る前の脈拍に戻るのかを計測してください。この作業によってスタミナと回復力がどれだけ高まっているのかを数値で確認できるようになります。

また、5キロ以上を走る場合は必ずペットボトルなどを持って走るか、もしくはコーチがいつでも水分補給できる環境を作っておく必要があります。冬季だからと言って水分補給を疎かにしてしまうと脱水症状を引き起こします。足をつるというのは脱水症状の初期症状ですので、つった時点でその日の運動は停止させ、しっかりと水分補給を行わなければなりません。

・・・・かんたんにまとめるつもりが、かなり長いコラムになってしまいましたね。これでもかなりかんたんにまとめたのですが、それでもまとめ切れないほど走り込みというのは奥が深く、有効なトレーニングなのです。ただし繰り返しますが過度な走り込みは逆効果で怪我を招くだけです。ですので指導者がしっかりと勉強をし、適切な走り込みのメニューを組むための知識を持つ必要があるのです。筋肉痛以外の走り込みの痛みはすべて怪我であり、それは100%指導者の責任であることを、走り込みをさせる指導者は頭に入れておく必要があるということを、決して忘れないでください。
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筆者:カズコーチ(プロフィール)
TeamKazオンライン野球塾 プロ野球選手のパーソナルコーチング、自主トレサポート、動作分析、試合内容分析、小中学生の個人レッスンなどを業務としているプロフェッショナルコーチです。
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